ECサイトのコンテンツ戦略|売上向上に直結する制作・運用の基本

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/25

ECサイトの売上が伸びない...コンテンツ戦略で差別化できる?

ECサイトを運営していると、「楽天やAmazonに負けてしまう」「商品ページを作っても売れない」「集客に苦戦している」といった悩みを抱えることが多いのではないでしょうか。大手モールとの競争が激しさを増す中、自社ECサイトで売上を伸ばすには、商品を並べるだけでは不十分です。

この記事では、ECサイトにおけるコンテンツの重要性と、商品ページ最適化・読み物コンテンツ・UGC活用など、売上向上に直結する具体的な制作・運用方法を解説します。

この記事のポイント:

  • 2024年のBtoC-EC市場は26兆1225億円(前年比5.1%増)で、スマホ比率は61.7%に達している
  • ECサイトのコンテンツは「商品コンテンツ」「読み物コンテンツ」「UGC・SNS・動画」の3種類に大別される
  • 商品説明文は「スペック」だけでなく「利用シーン・解決できる悩み・使用感」を具体的に記載することが重要
  • ブログで集客し商品ページに誘導する「分離戦略」が効果的
  • 北欧、暮らしの道具店は2年で2億円超、ファンケルはLTV約3倍向上の成功事例あり
  • コンテンツマーケティングの成果は3-6ヶ月以降に現れることが多く、継続的な運用体制が必要

1. ECサイトのコンテンツが重要な理由

ECサイトにおいてコンテンツが重要な理由を、市場動向と大手モールとの差別化の観点から解説します。

(1) EC市場の拡大とコンテンツの役割

経済産業省の調査によれば、2024年のBtoC-EC市場は前年比5.1%増の26兆1225億円に達し、EC化率は10%の大台が目前となっています。また、スマホ経由の市場規模は前年比9.0%増の9兆3904億円で、スマホ比率は61.7%に達しています。

このような市場拡大の中、ECサイトは単なる「商品を並べる場所」から「情報発信サイト」へと変化しており、コンテンツマーケティングを通じてユーザーをファン化し、購入につなげる戦略が主流になっています。

(2) 大手モールとの差別化における課題

「商品名+通販」のようなキーワードでは楽天市場やAmazonが強く、直接競合するのは困難です。また、色・サイズ違いやモール出品により、意図せず重複コンテンツが発生しやすいという課題もあります。

大手モールは価格競争が激しく、自社ECサイトは価格以外の付加価値で差別化する必要があります。そのための手段が、商品の背景・利用シーン・専門知識を伝えるコンテンツです。

(3) コンテンツマーケティングによる顧客獲得

コンテンツマーケティングは、顧客にとって価値のある情報を発信し、ファン化・購買につなげるマーケティング手法です。商品名検索だけでなく、「ハウツー」系コンテンツで購入前の不安を解消し購買意欲を高めることができます。

ただし、コンテンツSEOは集客手段であり、最終目的は売上であることを忘れてはいけません。また、コンテンツ制作には継続的なリソースが必要で、短期間での成果は期待しにくい点に注意が必要です。

2. ECサイトにおけるコンテンツの種類と役割

ECサイトのコンテンツは、目的と形式によって大きく3種類に分けられます。

(1) 商品コンテンツ(商品ページ・カテゴリページ)

商品ページは、ECサイトの核となるコンテンツです。商品情報、説明文、スペック、画像などを含み、購入の意思決定に直結します。カテゴリページは、複数の商品を分類・整理して表示し、ユーザーが目的の商品を見つけやすくする役割を果たします。

商品コンテンツは、購入を検討している顕在層に向けたもので、CVR(コンバージョン率)向上に直結する重要な要素です。

(2) 読み物コンテンツ(ブログ・特集記事)

ブログや特集記事は、商品に関連する情報やハウツー、トレンドなどを発信するコンテンツです。購入前の潜在層を集客し、商品への理解を深める役割を果たします。

例えば、「家具の選び方」「季節のコーディネート」「商品の使い方」など、ユーザーの疑問や興味に応えるコンテンツを作成します。ブログで集客し、商品ページへ誘導する「集客メディア」と「購買EC」の分離戦略が効果的です。

(3) UGC・SNS・動画コンテンツ

UGC(User Generated Content)は、お客様の声・レビュー・使用写真など、ユーザーが作成したコンテンツです。信頼性が高く、購入の後押しになることが多いです。

SNS(Instagram、Twitter/X、TikTok)や動画(YouTube、商品紹介動画)は、視覚的に商品の魅力を伝え、ブランドの世界観を表現するのに適しています。また、メルマガは既存顧客へのアプローチやリピート購入の促進に効果的です。

3. 商品ページコンテンツの最適化

商品ページは購入の意思決定に直結するため、最適化が重要です。

(1) 効果的な商品説明文の作り方

商品説明文は、スペックだけでなく、以下の要素を含めることが重要です:

含めるべき要素:

  • 利用シーン: 「オフィスでのリモート会議に最適」「お子様の誕生日プレゼントに人気」
  • 解決できる悩み: 「収納スペースが少ない方に」「乾燥肌でお悩みの方に」
  • 実際の使用感: 「軽くて持ち運びしやすい」「肌触りが柔らかい」
  • サイズ感: 「A4サイズの書類が余裕で入る」「身長160cmの方がちょうど良い丈」

北欧、暮らしの道具店のように「読み物として楽しめる」内容が理想です。ただし、商品の魅力を伝える際は、根拠のない最上級表現(「業界No.1」等)は避け、事実に基づいた表現を心がけましょう。

(2) 商品画像・スペック情報の充実

商品画像は、複数の角度から撮影し、サイズ感や質感が伝わるようにします。スマホ比率が61.7%に達していることから、スマホでの見やすさも重視しましょう。

スペック情報は、サイズ・重量・素材・カラーバリエーション・生産国など、購入判断に必要な情報を漏れなく記載します。特に、売れ筋商品の写真や紹介文には力を入れることが重要です。

(3) 重複コンテンツの回避策

色・サイズ違いの商品や、楽天・Amazonなど複数のモールに出品している場合、重複コンテンツが発生しやすくなります。重複コンテンツはSEOに悪影響を与える可能性があるため、以下の対策が推奨されます:

  • 商品説明文を各モールで微調整する
  • canonicalタグを設定して、メインページを検索エンジンに伝える
  • 自社ECサイトのコンテンツをより充実させ、独自性を高める

4. 読み物コンテンツによる集客戦略

読み物コンテンツは、潜在層の集客とファン化に効果的です。

(1) ハウツー記事で購買意欲を高める

ハウツー記事は、ユーザーの疑問や悩みに応える形で作成します。例えば:

  • 「初心者でもできる〇〇の選び方」
  • 「△△を長持ちさせる3つのコツ」
  • 「季節別□□のコーディネート術」

これらの記事は、商品名検索ではなく「悩み・疑問」で検索するユーザーを集客し、記事を読む中で商品への理解を深め、購買意欲を高める効果があります。

(2) ブログとECサイトの分離戦略

ブログで集客し、商品ページに誘導する「集客メディア」と「購買EC」の分離戦略が効果的です。具体的には:

  1. ブログで悩み・疑問を解決する記事を公開(SEO対策)
  2. 記事内で関連商品を自然に紹介
  3. 商品ページへのリンクで誘導
  4. 商品ページでCVR最適化を図る

この戦略により、ブログは集客に専念し、商品ページは購入に特化することができます。

(3) SEOとコンテンツマーケティングの関係

SEOは検索上位表示のための技術的施策で、コンテンツマーケティングは顧客に価値ある情報を提供しファン化する戦略です。両者を組み合わせることで、集客と購買の両立が可能になります。

ただし、SEO施策の効果は検索エンジンのアルゴリズム変更により変動する可能性があります。また、最新のAI対策(LLM対応)も注目されており、2024年以降はAIによる情報取得を意識したコンテンツ作りも重要になっています。

5. ECサイトのコンテンツマーケティング成功事例

実際にコンテンツマーケティングで成果を上げている事例を紹介します。

(1) 北欧、暮らしの道具店(2年で2億円超)

北欧、暮らしの道具店は、読み物として楽しめるECサイトを実現し、2年で2億円超の売上を達成しました。商品説明文を「物語」として描き、ユーザーが商品の背景やストーリーに共感できるコンテンツを提供しています。

この事例から、単なる商品情報ではなく、「読み物として価値がある」コンテンツがユーザーのファン化につながることが分かります。

(2) ファンケル(LTV約3倍向上)

ファンケルは、オウンドメディアを活用してLTV(顧客生涯価値)を約3倍に向上させました。美容・健康に関する専門的な情報を発信し、顧客の信頼を獲得することで、リピート購入率を高めています。

この事例は、専門知識を活かしたコンテンツが、顧客との長期的な関係構築に効果的であることを示しています。

(3) 家具ECサイト(YouTube60万人超)

家具ECサイトの中には、YouTube チャンネルを運用して60万人超の登録者を獲得している企業もあります。動画で商品の使い方やインテリアのコーディネート例を紹介し、視覚的に商品の魅力を伝えています。

この事例から、動画コンテンツがブランド認知とファン獲得に大きく貢献することが分かります。

注意点: これらの成功事例は企業規模・業種・商材により結果が異なります。自社の状況に合わせて、実現可能な施策から始めることが重要です。

6. まとめ:ECコンテンツ戦略の実践ポイント

ECサイトのコンテンツ戦略を成功させるための実践ポイントをまとめます。

(1) 自社ECに適したコンテンツの選択

すべてのコンテンツを一度に実施する必要はありません。自社の商材・ターゲット・リソースに応じて、優先順位をつけて取り組みましょう。

小規模ECサイト(月間アクセス数千件程度):

  • 商品ページの説明文充実を最優先
  • ブログは月2-4記事から開始
  • SNSは1-2プラットフォームに絞る

中規模ECサイト(月間アクセス数万件程度):

  • ブログ月10-20記事
  • 動画コンテンツの検討
  • UGCの積極的な活用

大規模ECサイト(月間アクセス数十万件以上):

  • オウンドメディアの本格運用
  • 動画・SNS・メルマガの統合運用
  • 専門チームでのコンテンツ制作体制

(2) リソース配分と継続的な運用体制

コンテンツマーケティングは継続的な取り組みが必要です。小規模なら1-2名で月10-20記事が目安ですが、外注も活用しながら継続的な更新体制を構築することが重要です。

成果は3-6ヶ月以降に現れることが多いため、短期的な成果を求めすぎず、中長期的な視点で取り組むことが推奨されます。

(3) 効果測定とPDCAサイクル

コンテンツの効果を測定し、改善を繰り返すことが重要です。測定すべき指標には以下があります:

  • アクセス数: ページビュー、ユニークユーザー
  • エンゲージメント: 滞在時間、直帰率、ページ/セッション
  • コンバージョン: CVR、売上、新規顧客獲得数
  • SEO: 検索順位、オーガニック流入数

これらの指標をもとに、「どのコンテンツが効果的か」「どこを改善すべきか」を判断し、PDCAサイクルを回しましょう。

最後に: ECサイトのコンテンツ戦略は、大手モールとの差別化とファン獲得に不可欠です。商品ページの最適化から始め、読み物コンテンツやSNSを段階的に拡充していくことで、持続的な売上向上を目指しましょう。

※この記事の情報は2024年11月時点のものです。最新の市場データや各種ツールの機能・料金については、公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1ECサイトのコンテンツ制作にどれくらいのリソースが必要?

A1小規模なら1-2名で月10-20記事が目安です。外注も活用しながら継続的な更新体制を構築することが重要です。成果は3-6ヶ月以降に現れることが多いため、中長期的な視点で取り組むことが推奨されます。

Q2効果的な商品説明文を書くコツは?

A2商品のスペックだけでなく、利用シーン(「オフィスでのリモート会議に最適」等)、解決できる悩み(「収納スペースが少ない方に」等)、実際の使用感(「軽くて持ち運びしやすい」等)を具体的に記載することが重要です。北欧、暮らしの道具店のように「読み物として楽しめる」内容が理想です。

Q3SEO対策とコンテンツマーケティングの違いは?

A3SEOは検索上位表示のための技術的施策(キーワード最適化、内部リンク、サイト速度改善等)で、コンテンツマーケティングは顧客に価値ある情報を提供しファン化する戦略です。両者を組み合わせることで、集客と購買の両立が可能になります。

Q4個人ECサイトでもコンテンツマーケティングは効果がある?

A4効果があります。大手モールと異なり、独自のストーリーや専門知識を発信できる点が強みです。月間アクセス数百件程度でも、濃いファンを獲得することで売上向上につながります。まずは商品ページの説明文充実とブログ月2-4記事から始めることが推奨されます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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