オウンドメディアを始めたいけれど、デジタルマーケティング全体での位置づけがわからない...
B2Bマーケティング担当者や経営企画の多くが、「オウンドメディアという言葉は知っているが、デジタルマーケティング戦略全体でどのように位置づけられ、どのように活用すべきか分からない」という課題に直面しています。オウンドメディアは、ペイドメディア(広告)・アーンドメディア(SNS等)と合わせて「トリプルメディア」の一つで、企業のデジタルマーケティング戦略の核となります。
この記事では、デジタルオウンドメディアの定義・種類・メリット・デメリット・運用のポイントをわかりやすく解説します。BtoB企業でのリード獲得事例もご紹介します。
この記事のポイント:
- オウンドメディアは企業が自社で保有・運営するメディア(Webサイト・ブログ・SNS・メルマガ等)
- トリプルメディア(ペイド・アーンド・オウンド)の一つで、デジタルマーケティング戦略の核
- 資産として蓄積され、継続的な集客効果が期待できる
- 成果が出るまで最低6か月〜1年程度の育成期間が必要
- BtoB企業ではホワイトペーパーダウンロード・セミナー誘導でリード獲得が可能
1. デジタルオウンドメディアとは?定義と位置づけ
デジタルオウンドメディアは、企業が自社で保有・運営するデジタルメディアの総称です。
(1) オウンドメディアの定義(狭義と広義)
オウンドメディア(Owned Media)には、狭義と広義の2つの定義があります。
狭義のオウンドメディア:
- 企業ブログ・Webマガジン・オウンドメディアサイト
- コンテンツマーケティングの一環として運営される情報発信メディア
広義のオウンドメディア:
- 企業が自社で保有・運営するメディア全般
- Webサイト・SNS公式アカウント・メールマガジン・カタログ・パンフレット等
この記事では、主に「デジタル」領域に焦点を当て、Webサイト・ブログ・SNS公式アカウント・メールマガジン等のデジタルチャネルを中心に解説します。
(2) トリプルメディア(ペイド・アーンド・オウンド)の関係
オウンドメディアは、「トリプルメディア」の一つとして位置づけられます。
トリプルメディアの3つ:
- ペイドメディア(Paid Media): 費用を支払って広告を出す媒体(リスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告等)
- アーンドメディア(Earned Media): SNSや口コミなど、第三者による評判・拡散を獲得するメディア
- オウンドメディア(Owned Media): 企業が自社で保有・運営するメディア
それぞれの役割:
- ペイドメディア: 短期的な集客・認知拡大に効果的だが、広告費がかかる
- アーンドメディア: 信頼性の高い情報拡散が期待できるが、コントロールが難しい
- オウンドメディア: 資産として蓄積され、継続的な集客効果が期待できる
トリプルメディアを組み合わせることで、効果的なデジタルマーケティング戦略を構築できます。
(3) デジタルマーケティング戦略における役割
オウンドメディアは、デジタルマーケティング戦略の核として重要な役割を果たします。
オウンドメディアの役割:
- 集客: SEOにより検索エンジンからの流入を獲得
- ブランディング: 企業の専門性・価値観を発信し、信頼を構築
- リード獲得: ホワイトペーパーダウンロード・セミナー誘導でリードを獲得
- ファーストパーティデータ取得: 自社サイトでの顧客データ収集(2024年のトレンド)
2024年のトレンド:
- クッキーレス時代への対応として、自社メディアでの顧客データ獲得の重要性が増加
- デジタルマーケティング予算の約32%がオウンドメディアに配分されると言われる
オウンドメディアは、短期的な広告施策と異なり、長期的な資産として蓄積されます。
2. オウンドメディアの種類と形態
オウンドメディアには、さまざまな種類と形態があります。
(1) Webサイト・企業ブログ・Webマガジン
オウンドメディアの中心となるのは、企業が運営するWebサイト・ブログ・Webマガジンです。
企業Webサイト:
- 企業情報・製品情報・お問い合わせ窓口を掲載
- 顧客との最初の接点となることが多い
企業ブログ:
- 業界トレンド・ノウハウ・導入事例を発信
- SEOによる検索流入を狙う
Webマガジン:
- より専門的・読み物的なコンテンツを提供
- ブランディングと専門性の訴求を両立
(2) SNS公式アカウント・メールマガジン
SNS公式アカウントとメールマガジンも、オウンドメディアの一部です。
SNS公式アカウント:
- Twitter・Instagram・LinkedIn・Facebook等
- リアルタイムな情報発信と顧客との双方向コミュニケーション
- アーンドメディアとしての側面も持つ(拡散・口コミ)
メールマガジン:
- 定期的な情報配信で顧客との関係を維持
- セグメント配信によりパーソナライズされた情報を提供
- MAツールと連携し、リードナーチャリングを自動化
(3) ホワイトペーパー・動画コンテンツ
コンテンツ形式としては、ホワイトペーパーや動画も有効です。
ホワイトペーパー:
- 専門的な情報をPDF形式でまとめた資料
- ダウンロードと引き換えにリード情報(メールアドレス等)を取得
- BtoB企業でのリード獲得施策として効果的
動画コンテンツ:
- YouTube・Vimeo等で公開
- 製品デモ・導入事例・ウェビナーアーカイブ等
- 視覚的に分かりやすく、エンゲージメント率が高い
オウンドメディアは、これらの形態を組み合わせて運営することが一般的です。
3. オウンドメディア運営のメリットとデメリット
オウンドメディアには、メリットとデメリットの両方があります。
(1) メリット(資産蓄積・継続的集客・ブランディング)
オウンドメディアの主なメリットは以下の通りです。
資産として蓄積:
- 一度発信したコンテンツはWeb上に残り続ける
- 過去のコンテンツも検索流入を生み続ける
- 広告と異なり、費用を止めても効果が継続
継続的な集客効果:
- SEO対策により、検索エンジンからの自然流入を獲得
- 初期は流入が少ないが、コンテンツ蓄積により徐々に増加
- 長期的には安定した集客チャネルとなる
ブランディング:
- 企業の専門性・価値観を発信し、信頼を構築
- 顧客との関係性を強化し、ロイヤルティを高める
- 競合との差別化を図る
ファーストパーティデータ取得:
- 自社サイトでの顧客行動データを収集
- クッキーレス時代への対応として重要
- MAツールと連携し、パーソナライズドマーケティングを実現
(2) デメリット(即効性の限界・継続的リソース必要)
オウンドメディアには、いくつかのデメリットもあります。
即効性の限界:
- 成果が出るまで最低6か月〜1年程度の育成期間が必要
- 短期的なリード獲得・売上向上には不向き
- 即効性を求める場合はペイドメディア(広告)併用が推奨
継続的なリソースが必要:
- コンテンツ制作には人的リソースとコストがかかる
- 専任担当者または外部パートナーの確保が必要
- 運用体制の整備が不可欠
独自性のあるコンテンツが必要:
- 競合が増える中、独自性のない情報では集客効果が薄い
- 自社の専門性を活かしたオリジナルコンテンツが重要
- 読者視点での価値提供が必須
メリットとデメリットを理解し、自社の状況に応じて判断することが重要です。
(3) ファーストパーティデータ取得の重要性(2024年)
2024年現在、ファーストパーティデータ取得の重要性が高まっています。
ファーストパーティデータとは:
- 自社サイトで直接収集した顧客データ(閲覧履歴・ダウンロード・問い合わせ等)
- サードパーティCookie(外部トラッキング)に依存しない
重要性が高まる背景:
- Googleがサードパーティクッキーを段階的に廃止
- プライバシー規制の強化(GDPR・個人情報保護法等)
- 広告プラットフォームへの依存度を下げる必要性
オウンドメディアでのデータ取得:
- 自社サイトでの顧客行動を追跡・分析
- ホワイトペーパーダウンロード・セミナー申し込みでリード情報を取得
- MAツールと連携し、顧客ごとにパーソナライズされたコミュニケーションを実施
ファーストパーティデータの取得・活用は、2024年以降のデジタルマーケティングの核となります。
4. オウンドメディアの始め方と運用ステップ
オウンドメディアを成功させるには、目的設定・体制構築・成果測定が重要です。
(1) 目的設定(集客・ブランディング・リード獲得・採用)
まず、オウンドメディアの目的を明確にします。
主な目的4つ:
- 集客: SEOによる検索流入増加、新規顧客の獲得
- ブランディング: 企業の専門性・価値観の発信、信頼構築
- リード獲得: ホワイトペーパーダウンロード・セミナー誘導でリード情報を取得
- リクルーティング: 採用活動での情報発信、求職者へのアピール
目的に応じたKPI設定:
- 集客: PV・UU・検索順位
- ブランディング: 滞在時間・直帰率・SNSシェア数
- リード獲得: CV数・CVR・リード単価
- リクルーティング: 応募数・応募者の質
目的が曖昧なまま運用を開始すると、成果が出にくいと言われています。
(2) コンテンツ制作体制の構築
コンテンツ制作には、専任担当者または外部パートナーの確保が必要です。
社内体制の例:
- 編集長: 戦略・方針決定・全体管理
- ライター: 記事執筆(社内または外部委託)
- デザイナー: アイキャッチ画像・図解作成
- SEO担当: キーワード選定・効果測定
外部パートナー活用:
- コンテンツ制作会社: 記事執筆・編集を外注
- SEOコンサルタント: 戦略設計・効果測定支援
運用プロセスの仕組み化:
- 編集カレンダーで公開スケジュールを管理
- ライティングガイドラインで品質を統一
- 定期的なミーティングで進捗確認・改善
属人的な運営ではなく、チーム体制での運用が成功のカギです。
(3) 成果測定とKPI設定(最低6か月〜1年)
成果測定とKPI設定は、オウンドメディア運営で欠かせません。
成果が出るまでの期間:
- 最低6か月〜1年程度の育成期間が必要
- 初期3か月はほとんど流入がないことも多い
- 短期的な成果を求めず、継続的なコンテンツ発信が重要
測定すべき指標:
- PV・UU: どれだけのユーザーが訪問したか
- 検索順位: 狙ったキーワードで何位にランクインしているか
- CV数・CVR: リード獲得や問い合わせがどれだけ発生したか
- 離脱率・直帰率: ユーザーがどこで離脱しているか
改善サイクル:
- 定期的にデータを分析し、施策を改善
- 効果の高いコンテンツを特定し、同様のテーマを増やす
- 流入が少ないコンテンツはリライト・削除を検討
PDCAサイクルを回し、継続的に改善することが成功のカギです。
5. BtoB企業でのオウンドメディア活用とリード獲得
BtoB企業でも、オウンドメディアは効果的なリード獲得手段です。
(1) ホワイトペーパーダウンロード・セミナー誘導
BtoB企業では、ホワイトペーパーダウンロードやセミナー誘導が効果的です。
ホワイトペーパーダウンロードの導線:
- オウンドメディアで課題解決のノウハウ記事を公開
- 記事内に「さらに詳しい情報はホワイトペーパーで」と誘導
- メールアドレス等の情報入力でダウンロード可能に
- 取得したリード情報をMAツールに登録
セミナー誘導の導線:
- 業界トレンドや課題解決のセミナーを開催
- オウンドメディアでセミナー告知記事を公開
- 記事内に申し込みフォームを設置
- 参加者情報をMAツールに登録し、ナーチャリング
(2) 月200件リード獲得の事例(LISKUL)
LISKUL(株式会社ソウルドアウト運営)は、月200件のリード獲得を実現しています。
LISKULの成功ポイント:
- デジタルマーケティングのノウハウを惜しみなく公開
- 実務担当者が直面する課題に寄り添ったコンテンツ
- ホワイトペーパー・テンプレート提供でリード獲得
成果:
- 月間PV: 50万以上
- 月間リード獲得: 200件以上
- 記事数: 1,000本以上
LISKULのように、読者にとって価値のあるコンテンツを継続的に発信することが成功のカギです。
(3) MAツール連携によるナーチャリング
オウンドメディアとMAツールを連携することで、効率的なリードナーチャリングが可能です。
MA連携の流れ:
- オウンドメディアでリード情報を取得
- MAツールに自動登録
- リードの行動(記事閲覧・ダウンロード等)を追跡
- スコアリングで関心度を数値化
- スコアが一定値を超えたら営業部門に引き継ぎ
主要なMAツール:
- HubSpot・Marketo・Pardot・SATORI等
MA連携により、オウンドメディアからのリードを効率的に育成できます。
6. まとめ:オウンドメディアで成果を出すために
デジタルオウンドメディアは、企業が自社で保有・運営するメディアで、トリプルメディア(ペイド・アーンド・オウンド)の一つです。資産として蓄積され、継続的な集客効果が期待できますが、成果が出るまで最低6か月〜1年程度の育成期間が必要です。
オウンドメディアで成果を出すポイント:
- 目的を明確にする(集客・ブランディング・リード獲得・採用)
- コンテンツ制作体制を整備し、継続的な発信を実現
- 成果測定とKPI設定を行い、PDCAサイクルを回す
- BtoB企業ではホワイトペーパーダウンロード・セミナー誘導でリード獲得
- MAツール連携で効率的なリードナーチャリングを実現
次のアクション:
- オウンドメディアの目的を明確化する
- 社内体制または外部パートナーを整備する
- 最低6か月〜1年の継続運用を前提に予算・リソースを確保する
- ファーストパーティデータ取得を意識した導線設計を行う
- 成果測定の仕組みを構築し、定期的に改善する
オウンドメディアは、長期的な資産として企業のデジタルマーケティング戦略を支えます。短期的な成果を求めず、継続的なコンテンツ発信と改善を繰り返すことが成功のカギです。
