データ統合とは?基本概念・手法・ツール選定のポイントを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

データ統合が必要と言われているけれど、何から始めればいいか分からない...

社内に散在するデータを活用したいと考えているものの、「データ統合って具体的に何をするの?」「どんなツールを使えばいい?」「費用はどれくらいかかる?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、データ統合の基本概念から主要な手法、ツール選定のポイント、導入ステップまでを、B2B企業の実務担当者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • データ統合とは、異なる場所や形式で存在するデータを一つのシステムにまとめるプロセス
  • ETL(抽出・変換・格納)が最も一般的な手法として広く利用されている
  • ツール選定では、統合対象データ、ソースシステム、機能、コスト、サポート体制を確認
  • 導入前に目的を明確化し、段階的に進めることが成功の鍵
  • 世界市場は2025年に約165億ドル規模、CAGR 13.7%で成長予測

1. データ統合が必要とされる背景

多くのB2B企業では、部門ごとに異なるシステムやツールを導入した結果、データがサイロ化(分散・孤立)している状態に陥っています。営業部門はSFA、マーケティング部門はMAツール、カスタマーサポートは問い合わせ管理システムをそれぞれ運用し、顧客データや取引データがバラバラに存在しているケースが一般的です。

このようなデータサイロ化は以下の問題を引き起こします:

  • 分析の困難さ: 部門横断的な分析ができず、全体像が見えない
  • 業務の非効率: データ取得に時間がかかり、本来の分析業務に着手できない
  • 意思決定の遅延: 最新データの把握に時間を要し、迅速な判断ができない
  • セキュリティリスク: データのアクセス管理が複雑化し、ガバナンスが弱まる

データ統合市場調査によると、世界のデータ統合市場は2025年に165億2000万ドル(約2.5兆円)と推定され、2032年には406億1000万ドル(約6.1兆円)に達する見込みです(CAGR 13.7%)。IT・通信業界が市場シェアの36.6%を占め、デジタルトランスフォーメーションの推進に伴い需要が急速に高まっています。

2. データ統合の基礎知識(定義・データ連携との違い)

(1) データ統合の定義

データ統合とは、異なる場所や形式で存在するデータを一つのシステムや形式にまとめるプロセスを指します。分散した状態では見えなかった傾向やパターンが、データを集約することで可視化され、より深い分析が可能になります。

データ統合の目的は単にデータを集めることではなく、データの価値を高めることにあります。統合されるデータの種類が増えるほど、新たな知見が得られる可能性が高まると言われています。

(2) データ連携との違い

データ統合とデータ連携は混同されやすい概念ですが、明確な違いがあります:

項目 データ統合 データ連携
目的 複数のデータソースを一つにまとめる システム間でデータをやり取りする
データの格納 統合基盤(DWHなど)に蓄積 必ずしも蓄積しない
分析への活用 横断的な分析が可能 リアルタイム連携が主目的

データ連携はシステム間の「橋渡し」、データ統合はデータの「集約・一元化」と理解するとわかりやすいでしょう。

(3) データサイロ化がもたらす課題

データサイロ化は以下のような具体的な課題をもたらします:

  • 重複作業の発生: 同じデータを複数部門で別々に管理
  • データ品質の低下: 更新タイミングのズレによる整合性の問題
  • コスト増大: 個別システムの維持管理費用が膨らむ
  • ガバナンスの弱体化: アクセス権管理が複雑化し、セキュリティリスクが高まる

3. データ統合の主要手法(ETL・EAI・ESB)

(1) ETL(Extract, Transform, Load)の基本プロセス

ETLはデータ統合において最も一般的な手法です。3つのステップで構成されます:

Extract(抽出): 複数のソースシステム(SFA、MAツール、基幹システムなど)からデータを抽出します。

Transform(変換): 抽出したデータを分析に適した形式に変換します。文字コードの統一、データ形式の標準化、不要データの除外などを行います。

Load(格納): 変換後のデータをデータウェアハウス(DWH)などの統合基盤に格納します。

ETL処理のタスク(データ抽出、複製、フォーマット変換、スクリプト作成、データロード)は工数がかかるため、担当者の負担が課題になるケースもあります。

(2) EAI・ESBによるアプリケーション間連携

EAI(Enterprise Application Integration): 企業内の異なるアプリケーションを統合する技術・ツールです。リアルタイムでのデータ連携が可能で、業務プロセスの自動化にも活用されます。

ESB(Enterprise Service Bus): システム間のデータ連携を仲介するミドルウェアです。各システムがESBを介してやり取りすることで、個別接続の複雑さを軽減できます。

これらはETLと組み合わせて使用されることも多く、リアルタイム連携が求められる場面ではEAI・ESB、バッチ処理での大量データ統合にはETLという使い分けが一般的です。

(3) データウェアハウスとの関係性

データウェアハウス(DWH)は、統合されたデータを蓄積・管理する大規模データベースです。ETLなどで統合されたデータはDWHに格納され、BIツールやデータ分析基盤から参照されます。

近年では、クラウド型DWH(Snowflake、BigQuery、Redshiftなど)の普及により、初期投資を抑えながらスケーラブルなデータ統合基盤を構築できるようになっています。

4. データ統合ツールの選定ポイントと比較

(1) 統合対象データとソースシステムの確認

ツール選定の前に、以下を整理することが重要です:

  • どのデータを統合するか: 顧客データ、取引データ、行動データなど
  • ソースシステムは何か: SFA、MAツール、基幹システム、Webアプリケーションなど
  • どの統合基盤に集約するか: オンプレミスDWH、クラウドDWH、データレイクなど
  • どのような分析を行うか: 定型レポート、アドホック分析、機械学習など

(2) ツール選定の評価軸(機能・コスト・サポート)

機能面:

  • 対応するデータソースの種類
  • ETL/ELTの処理能力
  • データ変換・加工の柔軟性
  • スケジュール実行・監視機能

コスト面:

  • 初期導入費用(ライセンス、構築費用)
  • 月額/年額の運用コスト
  • データ量・処理量による従量課金の有無

サポート面:

  • 日本語サポートの有無
  • 導入支援・オンボーディング
  • ドキュメント・コミュニティの充実度

(3) 主要データ統合ツールの特徴

代表的なツールの特徴を比較します:

ツール 特徴 適した企業規模
ASTERIA Warp 国内シェア上位、ノーコードで操作可能 中小〜中堅企業
Informatica グローバル大手、高機能・大規模向け 大企業
Talend オープンソース版あり、柔軟性が高い 中堅〜大企業
Azure Data Factory Microsoft製品との親和性が高い Microsoft環境利用企業
AWS Glue AWS環境でのデータ統合に最適 AWS利用企業

※料金・仕様は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

5. データ統合の導入ステップと課題・対策

(1) 統合対象の決定と目的の明確化

データ統合を成功させるための最初のステップは、目的の明確化です。「データ統合自体を目的化してしまい、統合後の活用方法が定まっていない」というケースは少なくありません。

以下の問いに答えることで、目的を明確にします:

  • なぜデータ統合が必要か?(課題の特定)
  • 統合後にどのような分析・活用をしたいか?(ゴールの設定)
  • どのデータを優先的に統合すべきか?(スコープの決定)

(2) データ加工・集積のプロセス

目的が明確になったら、以下のステップで進めます:

Step 1: 統合対象の決定 優先度の高いデータソースを特定し、統合範囲を決定します。

Step 2: 対象データの加工 データクレンジング(誤り・重複の除去)、フォーマット変換、文字コード統一などを行います。メインフレームとオープン系では文字コード体系が異なるため、変換処理が必要になる場合があります。

Step 3: データの集積 加工されたデータをDWHなどの統合基盤に格納します。

(3) よくある課題と解決策(人材不足・ETL負担)

課題1: 専門人材の不足 データ統合には専門知識が必要ですが、そのような人材が限られています。

解決策: 外部コンサルタントやベンダーサポートの活用。ツール選定・初期構築は外部、運用は内製というハイブリッドアプローチも有効です。

課題2: ETL処理の負担 データ抽出、複製、フォーマット変換、スクリプト作成、データロードといったタスクが膨大になりがちです。

解決策: ノーコード/ローコードツールの活用、ELT(変換をDWH側で行う)への移行検討。

課題3: データ品質の問題 統合するデータの品質が低いと、分析結果の信頼性も低下します。

解決策: データガバナンス体制の構築、品質基準・利用ルールの明確化、統合前後でのデータ検証プロセスの導入。

6. まとめ:データ統合を成功させるポイント

データ統合は、分散したデータを一元化し、企業のデータ活用を加速させるための重要な取り組みです。成功させるためのポイントを整理します:

成功のポイント:

  • 目的を明確化してから着手する(統合自体を目的化しない)
  • 小規模から始めて段階的に拡大する
  • データ品質の確保に注力する(ガバナンス体制の構築)
  • 専門人材の確保、または外部リソースの活用を検討する
  • ツール選定は自社の環境・予算・目的に合わせて行う

次のアクション:

  • 自社のデータサイロ化の現状を棚卸しする
  • データ統合の目的と優先度を整理する
  • 3〜5社のツールベンダーから情報収集する
  • 小規模なPoC(概念実証)から始めることを検討する

データ統合は一朝一夕で完了するものではありませんが、段階的に取り組むことで、データドリブンな意思決定基盤を構築できます。まずは自社の現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問:

Q: データ統合とETLの違いは何ですか? A: データ統合は複数のデータを一元化するという概念・目的を指し、ETLはそれを実現するための具体的な手法(抽出・変換・格納のプロセス)です。ETLはデータ統合を実現する手段の一つと位置づけられます。

Q: データ統合にはどれくらいのコストがかかりますか? A: 初期投資(ツール導入費・構築費)と運用コストが発生します。企業規模や既存システムの状況により大きく変動しますが、長期的には開発・メンテナンスコストの削減、業務効率化による効果が期待できます。具体的な費用は各ベンダーへの問い合わせをお勧めします。

Q: データ統合は内製と外注どちらが良いですか? A: 専門人材がいれば内製で柔軟に対応可能です。人材不足の場合は外部コンサルタントやベンダーサポートの活用を検討してください。ツール選定・初期構築は外部に依頼し、運用は内製で行うハイブリッドアプローチも有効な選択肢です。

Q: データ品質をどう担保すればよいですか? A: データクレンジング(誤り・重複の除去)を実施し、データガバナンス体制を構築することが重要です。品質基準・利用ルールを明確化し、統合前後でデータ検証を行うプロセスを導入することで、品質を担保できます。

よくある質問

Q1データ統合とETLの違いは何ですか?

A1データ統合は複数のデータを一元化するという概念・目的を指し、ETLはそれを実現するための具体的な手法(抽出・変換・格納のプロセス)です。ETLはデータ統合を実現する手段の一つと位置づけられます。

Q2データ統合にはどれくらいのコストがかかりますか?

A2初期投資(ツール導入費・構築費)と運用コストが発生します。企業規模や既存システムにより大きく変動しますが、長期的には開発・メンテナンスコストの削減、業務効率化による効果が期待できます。

Q3データ統合は内製と外注どちらが良いですか?

A3専門人材がいれば内製で柔軟に対応可能です。人材不足の場合は外部コンサルタントやベンダーサポートの活用を検討してください。ツール選定・初期構築は外部、運用は内製というハイブリッドも有効です。

Q4データ品質をどう担保すればよいですか?

A4データクレンジング(誤り・重複の除去)を実施し、データガバナンス体制を構築することが重要です。品質基準・利用ルールを明確化し、統合前後でデータ検証を行うプロセスを導入してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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