コピーコンテンツが原因でSEO順位が下がっているかもしれない...
オウンドメディアを運営するB2B企業にとって、コンテンツの品質管理は極めて重要です。しかし、「外部ライターが納品した記事が他サイトのコピーだった」「社内の異なる部署が似た記事を公開してしまった」といった事態は、意外と頻繁に発生します。
こうしたコピーコンテンツや重複コンテンツは、SEOにどのような影響を及ぼすのでしょうか?この記事では、コピーコンテンツの定義・SEOリスク・チェックツールの比較・検出方法・対策まで、実務に即して解説します。
この記事のポイント:
- コピーコンテンツは著作権侵害リスク・Googleペナルティ・企業信頼性低下をもたらす
- 重複コンテンツ自体は多くの場合ペナルティにならないが、評価分散・クロールバジェット無駄などの問題が発生
- 無料ツール(CopyContentDetector、こぴらん)と有料ツール(Copyscape、CopyMonitor)を目的別に選定
- テキストを単語や短いフレーズに分割し、30〜100件のWebページと比較して類似度を判定する
- canonical設定・noindex・301リダイレクト・リライトなどの対策を組み合わせることが重要
1. コピーコンテンツとは?SEOへの影響とリスク
まず、コピーコンテンツと重複コンテンツの違い、SEOへの影響を整理しましょう。
(1) コピーコンテンツと重複コンテンツの定義
コピーコンテンツは、他サイトのコンテンツをコピーして作成されたコンテンツを指します。意図的な盗用だけでなく、外部ライターが参考サイトから大量にコピーしてしまったケースも含まれます。
重複コンテンツは、自社サイト内または他サイトとの間で、同一または酷似したコンテンツが存在する状態です。例えば、社内の異なる部署がそれぞれ「MAツールの選び方」という似た記事を公開すると、重複コンテンツとなります。
(2) SEOへの影響(順位低下、インデックス削除、ペナルティ)
Googleのジョン・ミューラー氏は2017年に「重複コンテンツはランキングにマイナスの影響を与えるものではない」と発言していますが、これは「重複しただけで即座にペナルティになることはない」という意味です。
実際には、以下のような問題が発生します:
評価の分散: 重複コンテンツが複数存在すると、検索エンジンがどのページを評価すべきか判断できず、評価が分散します。
クロールバジェットの無駄: 検索エンジンが重複コンテンツを何度もクロールするため、本来クロールすべき重要なページへのリソース配分が減少します。
意図した検索結果への非表示: 重複コンテンツのうち、意図しないページが検索結果に表示されることがあります。
悪質な手法でのペナルティ: 悪質な手法で大量にコピーコンテンツを作成すると、Googleのスパムポリシー違反としてペナルティを受ける可能性があります。
(3) 著作権侵害と企業信頼性低下のリスク
SEOリスクだけでなく、法的リスクも重大です。他サイトのコンテンツをコピーした場合:
著作権侵害訴訟リスク: 権利者から訴訟を提起され、損害賠償請求を受ける可能性があります。
企業の信頼性低下: 「あの企業は他社のコンテンツをコピーしている」という評判が広がると、ブランド価値が大きく毀損されます。
外部ライターを多数管理している場合は、記事納品前に必ずコピペチェックツールで検証し、著作権侵害リスクを回避することが重要です。
2. コピーコンテンツチェックツールの仕組みと選定基準
コピーコンテンツチェックツールは、どのように類似度を判定しているのでしょうか。
(1) チェックツールの基本的な仕組み
コピペチェックツールは、以下の流れで類似度を判定します:
テキストの分割: チェック対象のテキストを単語や短いフレーズに分割します。
検索エンジン的な仕組みで比較: 分割したフレーズを検索エンジンにかけ、30〜100件のWebページと比較します。
一致するフレーズ・文章構造・類似パターンを特定: 完全一致だけでなく、文章構造や類似パターンも検出します。
類似率・一致率を算出: テキスト全体のうち、他サイトと類似している部分の割合(類似率)、完全に一致している部分の割合(一致率)を算出します。
(2) 類似率・一致率の判定方法
多くのツールでは、以下のようなステータスで判定結果を表示します:
- 「良好」: 類似率・一致率が低く、オリジナルコンテンツとして問題なし
- 「要注意」: 類似部分がある程度存在し、リライトを検討すべき
- 「コピーの疑い」: 類似率・一致率が高く、コピーコンテンツの可能性が高い
ただし、ツールの判定精度には限界があるため、最終的には人間の目で確認し、オリジナル性を担保することが推奨されます。
(3) ツール選定時の比較軸(文字数制限、精度、コスト)
コピペチェックツールを選定する際は、以下の軸で比較しましょう:
文字数制限: 無料ツールは4,000文字までが一般的。長文記事を多数チェックする場合は有料ツールを検討。
精度: どの程度の精度で類似度を判定できるか。フレーズ別分析が可能か。
コスト: 初期コスト・月額コスト。小規模サイトなら無料ツールで十分な場合が多い。
AI検出機能: 2024年はAIライティングとコピペの両方を検出できるツールも登場しています。
3. 無料・有料ツールの比較と機能
具体的なツールを見ていきましょう。
(1) 無料ツール(CopyContentDetector、こぴらん等)
CopyContentDetector:
- 4,000文字まで無料・無制限でチェック可能
- 会員登録不要で利用でき、類似率・一致率を多角的に判定
- 「良好」「要注意」「コピーの疑い」のステータスで文章品質を可視化
こぴらん:
- 完全無料・登録不要で、Yahoo!・Googleのサイトと照合
- シンプルな操作で初心者にも使いやすく、チェック回数制限なし
無料ツールは初期コストなしで導入できるため、小規模サイトや導入初期段階では有効です。ただし、文字数制限があるため、長文記事の場合は複数回に分けてチェックする必要があります。
(2) 有料ツール(Copyscape、CopyMonitor等)
Copyscape:
- 8,000文字以上の長文チェックが可能
- 詳細なフレーズ別分析機能
- 定期的な自動監視機能(他サイトが自社コンテンツをコピーしていないか監視)
CopyMonitor:
- AIライティングとコピペの両方を検出可能(2024年の最新機能)
- 外部ライター管理に適した一括チェック機能
有料ツールは、外部ライターを多数管理している企業、長文記事を大量に公開する企業、AI生成コンテンツも監視したい企業に適しています。
(3) AIライティング検出機能の最新動向(2024年)
2024年は、AI文章生成ツールの普及に伴い、AIライティングとコピペの両方を検出できるツールが登場しました。例えばCopyMonitorは、「人間が書いた文章か、AIが生成した文章か」を判定する機能を備えています。
AI生成コンテンツが一般的になる中、こうしたツールは今後さらに重要性を増すと考えられます。
4. コピーコンテンツの検出方法と判定基準
実際の検出方法と判定基準を見ていきましょう。
(1) テキスト分割と比較アルゴリズム
前述の通り、コピペチェックツールはテキストを単語や短いフレーズに分割し、30〜100件のWebページと比較します。この際、以下の要素を分析します:
- 一致するフレーズ: 完全に一致する文章
- 文章構造: 語順が似ている文章
- 類似パターン: 表現は異なるが、内容が酷似している文章
(2) コピペ率の目安と「良好」「要注意」「コピーの疑い」の判定
コピペ率の目安は以下の通りです:
- 「良好」: 類似率10%未満。オリジナルコンテンツとして問題なし。
- 「要注意」: 類似率10-30%。リライトを検討すべき。
- 「コピーの疑い」: 類似率30%以上。大幅なリライトまたは削除が必要。
一般的にコピペ率が高いとSEO評価低下や検索結果への非表示リスクがあるため、できるだけ低く抑えることが推奨されます。
(3) 類似部分の特定と分析
チェック後は、どの部分が類似しているかを特定し、以下の判断を行います:
引用として適切か: 引用として明示されており、引用元が明記されていれば問題ありません。
独自の表現に書き換え可能か: 類似部分を特定し、独自の表現に書き換えることで、オリジナルコンテンツとしての価値を高めることができます。
削除すべきか: あまりにも類似度が高い場合は、該当部分を削除することも検討します。
5. 重複コンテンツの対策と社内運用フロー
検出した重複コンテンツに対して、どのような対策を講じるべきでしょうか。
(1) テクニカル対策(canonical設定、noindex、301リダイレクト)
canonical タグ設定: 重複コンテンツのうち、検索エンジンに評価してほしい正規URLを指定します。評価分散を防ぎ、意図したページを検索結果に表示させるための重要な対策です。
例:
<link rel="canonical" href="https://example.com/original-page" />
noindex 設定: 重複コンテンツを検索エンジンにインデックスさせたくない場合、noindex を設定します。
301リダイレクト: 古いURLから新しいURLへ恒久的に転送する手法です。重複コンテンツを統合する際に有効です。
(2) リライトによるオリジナル化
テクニカル対策だけでなく、コンテンツ自体をリライトすることも重要です。
類似部分を独自の表現に書き換える: 単なる語順の変更ではなく、自社の視点や事例を追加することで、オリジナル性を高めます。
情報の追加: 他サイトにはない独自情報(顧客事例、社内データ、実験結果など)を追加します。
(3) 公開前チェックと定期監視の運用フロー
重複コンテンツを未然に防ぐため、以下の運用フローを確立しましょう:
公開前チェック: 外部ライターから納品された記事は、公開前に必ずコピペチェックツールで検証します。
定期監視: 既存記事について、定期的にコピペチェックを実施します。他サイトが自社コンテンツをコピーしていないかも監視します。
社内ルールの策定: 「どの部署がどのテーマを扱うか」を明確化し、社内での重複を防ぎます。
ライター教育: 外部ライターに対して、コピペ禁止・引用ルール・オリジナル性の重要性を教育します。
6. まとめ:コピーコンテンツチェックの実践ポイント
コピーコンテンツチェックは、B2B企業のオウンドメディア運営において欠かせない品質管理プロセスです。実践のポイントを整理しましょう。
コピーコンテンツチェックの実践ポイント:
- コピーコンテンツは著作権侵害・Googleペナルティ・企業信頼性低下のリスクがある
- 重複コンテンツはペナルティにならないケースが多いが、評価分散・クロールバジェット無駄などの問題が発生
- 無料ツール(CopyContentDetector、こぴらん)は小規模サイトに適している
- 有料ツール(Copyscape、CopyMonitor)は長文チェック・詳細分析・AI検出に対応
- canonical設定・noindex・301リダイレクト・リライトを組み合わせて対策する
次のアクション:
- 自社サイトの規模・予算に合ったコピペチェックツールを選定する
- 外部ライターとの契約に「公開前チェック必須」を明記する
- 既存記事について、重複コンテンツチェックを実施する
- 社内で「どの部署がどのテーマを扱うか」を明確化し、重複を防ぐルールを策定する
コピペチェックはあくまで類似度判定であり、著作権侵害の有無を法的に判断するものではありません。最終的には人間の目で確認し、オリジナル性を担保しましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。ツールの機能・料金は変更の可能性があるため、最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
