コンテンツマーケティングが注目される背景
B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング担当者として、コンテンツマーケティングを新たに担当することになったものの、「何から始めればいいのか分からない」「基礎知識がないので不安」といった悩みを抱えていませんか。
コンテンツマーケティングは、今や多くの企業が取り組んでいるマーケティング手法ですが、初心者にとってはどこから手をつければよいか分かりにくいものです。
この記事では、コンテンツマーケティングの基礎知識から、始め方の5ステップ、よくある失敗パターンと対策までを初心者向けに解説します。
この記事のポイント:
- コンテンツマーケティングは売り込み型広告の効果低下を背景に注目されている
- 市場規模は約1兆円規模、今後も成長が見込まれる分野
- 始め方は5ステップ(目的設定→ペルソナ設定→チャネル選定→コンテンツ作成→効果測定)
- 初心者がつまずきやすい4つの失敗パターンを事前に理解しておくことが重要
- 最低6ヶ月〜1年の継続が必要で、短期で成果を求めると失敗する
(1) 売り込み型広告の効果低下
従来のマーケティング手法である売り込み型広告(TVCM、新聞広告、バナー広告など)の効果が低下しています。消費者は広告に対して懐疑的になり、広告ブロックツールを使ったり、広告を無視したりする傾向が強まっています。
こうした背景から、企業側が一方的に売り込むのではなく、ユーザーにとって価値のある情報を提供し、信頼関係を構築するコンテンツマーケティングが注目されるようになりました。
(2) ユーザーの主体的な情報収集行動の増加
インターネットの普及により、ユーザーは企業から一方的に情報を受け取るのではなく、自ら検索して情報収集するようになりました。特にB2Bの購買プロセスでは、営業担当者に接触する前に、ユーザー自身がWebで情報収集を済ませているケースが増えています。
このため、ユーザーが情報収集する段階で自社のコンテンツに接触してもらい、信頼関係を築くことが重要になっています。
(3) 市場規模と成長性
日本のコンテンツマーケティング市場は約1兆円規模と推計されています(パスカル「【2024年版】コンテンツマーケティングの市場規模やこれからの展望を徹底解説」)。インターネット広告費の増加に伴い、コンテンツマーケティングへの投資も拡大しており、今後も成長が見込まれる分野です。
多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組んでいる一方で、初心者が体系的に学べる情報は限られているため、基礎から正しく理解することが成功の鍵となります。
コンテンツマーケティングとは何か
コンテンツマーケティングの基礎知識を理解しておきましょう。
(1) コンテンツマーケティングの定義
コンテンツマーケティングとは、価値あるコンテンツを継続的に提供し、見込み客との信頼関係を構築するマーケティング手法です(パスカル「コンテンツマーケティングの始め方は?初心者が成果につなげるためのポイント」)。
従来の「商品を売り込む広告」とは異なり、ユーザーの悩みを解決する情報や、役立つノウハウを提供することで、自社への信頼を高め、最終的に購買につなげます。
コンテンツの例:
- ブログ記事
- ホワイトペーパー(調査レポート、導入ガイド)
- 動画(解説動画、ウェビナー)
- SNS投稿
- メールマガジン
- ポッドキャスト
これらのコンテンツを組み合わせて、ユーザーとの接点を増やし、信頼関係を築いていきます。
(2) コンテンツSEOとの違い
初心者がよく混同するのが、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOです。
コンテンツSEO:
- 検索エンジン上位表示を狙った手法の1つ
- キーワード選定、サイト構造改善、内部リンク最適化などを行う
- 検索エンジン経由の流入を増やすことが目的
コンテンツマーケティング:
- SEOだけでなく、SNS・動画・ホワイトペーパーなどあらゆるチャネルでのコンテンツ活用全体を指す広い概念
- 信頼関係構築とファン化が目的
つまり、コンテンツSEOはコンテンツマーケティングの手法の1つであり、コンテンツマーケティングはより広い概念です。
(3) BtoBとBtoCの違い
コンテンツマーケティングはBtoBとBtoCで戦略が異なります。
BtoC(一般消費者向け):
- 感情的な訴求が有効
- 購買決定は個人で完結
- 短期的なコンバージョンを狙いやすい
BtoB(企業向け):
- 論理的・合理的な訴求が必要(ROI、導入効果、事例)
- 購買決定に複数人が関与(稟議プロセス)
- 商談創出・リード獲得が中心で、購買まで時間がかかる
この記事では、BtoBデジタルプロダクト企業に焦点を当てて解説します。
コンテンツマーケティングの始め方5ステップ
初心者がコンテンツマーケティングを始める際の具体的なステップを解説します。
(1) ステップ1:目的・目標をKPIで数値化する
まず、「なぜコンテンツマーケティングを行うのか」という目的を明確にします。目的が曖昧なまま始めると、施策がブレて失敗する原因になります。
目的の例:
- リード獲得(見込み客の連絡先を獲得する)
- 認知度向上(自社ブランドを知ってもらう)
- 既存顧客のファン化(リピート購入・アップセル)
目的を決めたら、数値化したKPIを設定します。
KPIの例:
- 半年後に月間1万PV達成
- 月間100件の見込み客情報獲得
- ウェビナー参加者数月50名
数値化することで、達成度を測定でき、PDCAサイクルを回しやすくなります。
(2) ステップ2:ペルソナを具体的に設定する
ペルソナとは、ターゲットとなる典型的な顧客像を具体的に設定した架空の人物です。ペルソナを明確にすることで、コンテンツがどんな人に刺さるのかがイメージしやすくなります。
ペルソナに含める項目:
- 名前、年齢、性別
- 勤務先情報(業種、企業規模、部署、役職)
- 課題・悩み
- 情報収集方法(Google検索、SNS、業界メディアなど)
- 購買決定プロセス(誰の承認が必要か)
例:
- 名前:田中一郎
- 年齢:32歳
- 役職:製造業・マーケティング部 担当者
- 課題:Webからのリード獲得が不足、何から始めればいいか分からない
- 情報収集:Google検索、業界メディア、LinkedIn
- 決裁:部長承認が必要、年間予算300万円
ペルソナ設定により、「誰にどんなコンテンツを届けるか」が明確になります。
(3) ステップ3:配信メディア・チャネルを選ぶ
コンテンツを配信するメディア・チャネルを選びます。1つに絞らず、2〜3個を組み合わせて特性に応じて使い分けるのが効果的です。
主なチャネル:
- ブログ記事(オウンドメディア): SEO対策に有効、長期的な流入が見込める
- SNS(LinkedIn、X、Facebook): 拡散性が高い、BtoBならLinkedInが有効
- 動画(YouTube、ウェビナー): 視覚的に情報を伝えられる、理解しやすい
- ホワイトペーパー: 専門性の高い情報を提供、リード獲得に有効
- メールマガジン: 既存顧客との接点維持、定期的な情報提供
BtoBの場合、ブログ記事でSEO流入を狙い、LinkedInで拡散し、ホワイトペーパーでリード獲得する組み合わせが効果的です。
スモールスタートの場合: WordPressなどのCMSを活用すれば、月額数千円から始められます。まずはブログ記事から始め、効果が出てから他チャネルに拡大するのが推奨されます。
(4) ステップ4:コンテンツを作成する
ペルソナの悩みやニーズに応えるコンテンツを作成します。
コンテンツ作成のポイント:
- ユーザーの悩み解決を優先: 自社の売り込みに偏重しない
- 具体的・実用的: 抽象的な理論ではなく、具体的なステップや事例を提示
- 根拠を明示: 統計データ、公的機関の情報、事例を引用して信頼性を高める
- 継続的な発信: 週1回、月4本など、無理のないペースで継続する
初心者におすすめのコンテンツ:
- 「〇〇の始め方」「〇〇とは」などの基礎解説記事
- 「よくある失敗と対策」などの実用的なノウハウ
- 「事例紹介」「導入ガイド」などの具体例
最初から完璧を目指さず、まずは公開して反応を見ながら改善していくのが成功のコツです。
(5) ステップ5:効果測定とPDCAサイクル
コンテンツを公開したら、効果測定と改善のPDCAサイクルを回します。
測定すべき主要指標:
- PV(ページビュー)数: どれだけ読まれているか
- CV(コンバージョン)数: 資料ダウンロード、問い合わせ、ウェビナー申込などの行動
- リード数: 見込み客の連絡先獲得数
- 滞在時間: コンテンツがしっかり読まれているか
Googleアナリティクスなどのツールで定期的に進捗を確認し、「どのコンテンツが反応が良いか」「どのキーワードで流入しているか」を分析します。
効果が出ているコンテンツは横展開し、効果が出ていないコンテンツはリライトや削除を検討します。
初心者がつまずく失敗パターンと対策
700社以上の支援実績を持つバズ部によると、コンテンツマーケティングで失敗する企業には共通のパターンがあります(バズ部「700社支援してわかったコンテンツマーケティングの頻出失敗パターン6選」)。初心者が特につまずきやすい4つの失敗パターンと対策を紹介します。
(1) 失敗パターン1:目的が曖昧なまま始める
失敗例: 「とりあえずブログを始めよう」と目的を明確にせずに始めてしまい、何を書けばいいか分からなくなる。
対策: ステップ1で解説したように、「なぜやるのか」を明確にし、KPIを数値化します。目的が明確であれば、コンテンツのテーマや方向性がブレません。
(2) 失敗パターン2:自社の売り込みに偏重する
失敗例: 自社製品の宣伝ばかりで、ユーザーにとって価値のない情報を発信してしまい、読者が離脱する。
対策: ユーザーの悩み解決を優先したコンテンツを作成します。自社製品を紹介するのは、ユーザーの課題を理解し、解決策を提示した後です。信頼関係を築くことが先決です。
(3) 失敗パターン3:短期で成果を求める
失敗例: 3ヶ月で成果が出ないと判断して中止してしまう。
対策: コンテンツマーケティングは最低6ヶ月〜1年の継続が必要です。特にSEOは検索エンジンに評価されるまで時間がかかります。短期で成果を求めず、長期的な視点で取り組みましょう。
(4) 失敗パターン4:経営層の理解とコミットメント不足
失敗例: 経営層や上長の理解がないため、予算・人員が確保できず、途中で中止される。
対策: 開始前に経営層に目的・KPI・必要な期間を説明し、コミットメントを得ておきます。成果が出るまで時間がかかることを事前に共有し、継続的なサポートを確保しましょう。
成果測定と継続的な改善
コンテンツマーケティングで成果を出すには、効果測定と継続的な改善が不可欠です。
(1) 測定すべき主要指標(PV・CV・リード数)
ステップ5で解説したように、以下の指標を定期的に測定します。
主要指標:
- PV数: 月間PV、記事別PV
- CV数: 資料ダウンロード、問い合わせ、ウェビナー申込
- リード数: 見込み客の連絡先獲得数
- 滞在時間: 記事がしっかり読まれているか
- 直帰率: 1ページだけ見て離脱する割合
これらの指標をダッシュボードで可視化し、定期的にレビューします。
(2) Googleアナリティクス活用法
Googleアナリティクスは無料で使える強力なツールです。初心者は以下の機能から始めましょう。
基本的な使い方:
- リアルタイムレポート: 今何人が見ているか
- ユーザー獲得レポート: どこから流入しているか(検索、SNS、直接流入)
- ページとスクリーンレポート: どのページがよく読まれているか
- コンバージョンレポート: 目標達成数(資料DL、問い合わせ)
月1回レポートを作成し、「どのコンテンツが効果的か」「どのキーワードで流入しているか」を分析して、次のコンテンツ制作に活かします。
(3) 最低6ヶ月〜1年の継続が必要な理由
コンテンツマーケティングは、短期間では成果が出にくい手法です。最低6ヶ月〜1年の継続が必要な理由は以下の通りです。
理由:
- 検索エンジンの評価に時間がかかる: Googleが新しいコンテンツを評価し、上位表示するまで3〜6ヶ月程度かかる
- コンテンツの蓄積が必要: 数記事では効果が出にくく、最低20〜30記事は必要
- 信頼関係の構築に時間がかかる: ユーザーが何度も訪問し、信頼を築くまで時間がかかる
焦らず継続することが、コンテンツマーケティング成功の最大のポイントです。
まとめ:初心者が成果を出すために
コンテンツマーケティングは、売り込み型広告の効果低下を背景に注目されている手法です。市場規模は約1兆円規模で、今後も成長が見込まれます。
初心者がコンテンツマーケティングを始める際は、以下の5ステップで進めましょう。
- 目的・目標をKPIで数値化する(例:半年後に月間1万PV)
- ペルソナを具体的に設定する(名前・年齢・悩み・情報収集方法まで)
- 配信メディア・チャネルを選ぶ(ブログ・SNS・ホワイトペーパーなど2〜3個を組み合わせ)
- コンテンツを作成する(ユーザーの悩み解決を優先、自社の売り込みに偏重しない)
- 効果測定とPDCAサイクル(Googleアナリティクスで定期的に進捗確認)
よくある失敗パターン(目的曖昧、自社売り込み偏重、短期成果追求、経営層理解不足)を避け、最低6ヶ月〜1年の継続を前提に取り組みましょう。
次のアクション:
- 自社のコンテンツマーケティングの目的とKPIを明確にする
- ペルソナを具体的に設定し、社内で共有する
- WordPressなどのCMSでスモールスタートする
- 初心者向けの書籍(『沈黙のWebマーケティング』等)で学ぶ
- Googleアナリティクスを設定し、月1回効果測定する
コンテンツマーケティングは時間がかかりますが、継続することで確実に成果が出る手法です。焦らず、ユーザーに価値を提供することを第一に取り組みましょう。
