SEO記事を書いても検索流入が増えない...キーワード選定が間違っているかもしれない
オウンドメディアを運営するB2B企業にとって、SEOによる検索流入は重要な集客チャネルです。しかし、「高品質な記事を書いても順位が上がらない」「アクセスは増えたが問い合わせにつながらない」といった悩みは尽きません。
こうした課題の多くは、コンテンツキーワードの選定に問題があります。キーワード選定はSEOの成果の8-9割を左右すると言われるほど重要な施策です。この記事では、コンテンツキーワードの選び方・リサーチ手法・配置方法・効果測定まで、実務に即して解説します。
この記事のポイント:
- キーワード選定でSEOの成果の8-9割が決まり、サイト構造やコンテンツ作成の基盤となる
- ビッグキーワードばかり狙わず、ロングテールキーワードから着手する戦略が効果的
- コンテンツマーケティングではKnowクエリ(情報収集型)を中心にキーワードを選定
- Googleキーワードプランナー、Ahrefs、ラッコキーワード等のツールを目的別に活用
- 2024年のAI Overview機能によりCTR低下リスクがあり、より高品質なコンテンツ作成が重要に
1. コンテンツキーワードとは?SEO成果を左右する重要性
まず、コンテンツキーワードの定義と、なぜそれほど重要なのかを整理しましょう。
(1) コンテンツキーワードの定義と種類(プライマリ、セカンダリ、LSI)
コンテンツキーワードとは、SEOやコンテンツマーケティングにおいて、どのキーワードで上位表示を狙うかを決定するキーワードのことです。以下の3種類に分類されます:
プライマリキーワード(主要キーワード): 記事のメインテーマとなるキーワード。タイトルやH2見出しに配置します。例:「MAツール 選び方」
セカンダリキーワード(関連キーワード): プライマリキーワードに関連する補助的なキーワード。H3見出しや本文に配置します。例:「MAツール 料金」「MAツール 比較」
LSIキーワード(共起語): プライマリキーワードと一緒に使われやすい単語。自然な文章の中に含めることで、コンテンツの関連性を高めます。例:「リード獲得」「営業効率化」「ROI」
(2) キーワード選定でSEOの成果の8-9割が決まる理由
キーワード選定がなぜこれほど重要なのでしょうか。以下の理由があります:
需要のある記事を書くため: キーワード選定をせずに記事を書くと、誰も検索しないテーマの記事を量産してしまいます。検索ボリュームがあるキーワードを選ぶことで、需要が確実に存在する記事を作成できます。
検索意図とのマッチング: 高品質なコンテンツでも、ユーザーの検索意図とマッチしなければ上位表示されません。キーワード選定の段階で検索意図を理解することが、上位表示の鍵です。
サイト構造の基盤: キーワード選定はサイト全体の構造設計にも影響します。どのカテゴリにどのキーワードを配置するか、どのキーワード同士を内部リンクでつなぐかなど、戦略的な設計が可能になります。
(3) 2024年AI時代におけるキーワード選定の重要性
2024年8月、GoogleはAI生成要約を検索結果上部に表示する「AI Overview」機能を日本でも公開しました。この機能により、上位表示サイトでもクリック率(CTR)が低下する懸念があります。
しかし、AI時代だからこそキーワード選定の重要性は増しています。AI・機械学習の進化により、Googleの自然言語処理能力が高度化し、より有益で高品質なコンテンツが重視されるようになりました。キーワード選定を適切に行い、検索意図に応える高品質なコンテンツを作成することが、今後のSEO戦略の中核となります。
2. キーワードリサーチの手法とツール活用
キーワード選定の第一歩は、リサーチです。どのようなツールを使い、どのように調査すべきかを見ていきましょう。
(1) Googleキーワードプランナー・サーチコンソールの活用
Googleキーワードプランナー: Googleが提供する公式ツールで、検索ボリュームや競合性を確認できます。Google広告アカウントがあれば無料で利用可能です。
使い方: 調査したいキーワードを入力すると、月間検索ボリューム、競合性(高・中・低)、関連キーワードが表示されます。
Googleサーチコンソール: 自社サイトがどのキーワードで検索されているか、クリック数・表示回数・順位を確認できます。既存記事のリライト時に有効です。
(2) Ahrefs・Semrush等の競合分析ツール
Ahrefs(エイチレフス): 競合サイトがどのキーワードで流入を獲得しているかを分析できる有料ツールです。
使い方: 競合サイトのURLを入力すると、流入キーワード、検索順位、流入数が一覧表示されます。自社が狙うべきキーワードを発見できます。
Semrush: Ahrefsと同様に、競合分析・キーワード調査・順位追跡が可能な有料ツールです。どちらも月額1万円以上のコストがかかるため、予算に応じて選定しましょう。
(3) ラッコキーワード等のサジェストツール
ラッコキーワード: Googleのサジェストキーワード(検索窓に表示される候補)を一括取得できる無料ツールです。
使い方: 「MAツール」と入力すると、「MAツール 選び方」「MAツール 比較」「MAツール 料金」など、関連する検索候補が一覧表示されます。ロングテールキーワードの発見に有効です。
(4) 競合サイトの流入キーワード分析
競合サイトのどのキーワードが流入を生んでいるかを分析することで、自社が狙うべきキーワードを発見できます。Ahrefsの「Organic search」機能を活用しましょう。
例えば、競合が「MAツール 比較」で月間1,000件の流入を獲得しているなら、自社も同じキーワードで記事を作成することを検討します。
3. 効果的なキーワード選定の基準
リサーチで候補キーワードを洗い出したら、どのキーワードを優先すべきか選定します。
(1) 検索ボリュームと競合性のバランス
キーワード選定では、検索ボリュームと競合性のバランスが重要です。
ビッグキーワード(検索ボリューム大・競合性高): 月間検索ボリュームが1万以上のキーワード。「SEO」「マーケティング」など。上位表示が困難なため、ドメインパワーが弱い初期段階では避けるべきです。
ミドルキーワード(検索ボリューム中・競合性中): 月間検索ボリュームが1,000-10,000のキーワード。「SEO キーワード選定」「MAツール 選び方」など。ある程度のコンテンツが蓄積されたサイトが狙うべき範囲です。
ロングテールキーワード(検索ボリューム小・競合性低): 複数の単語を組み合わせたキーワード。月間検索ボリュームは100-1,000程度ですが、検索意図が明確で競合が少なく、上位表示しやすい特徴があります。「SEO キーワード選定 初心者 ツール」など。
ビッグキーワードばかり狙わず、ロングテールキーワードから着手する戦略が効果的です。
(2) 検索意図(Knowクエリ中心)の理解と分類
検索意図(サーチインテント)は、ユーザーがそのキーワードで検索する際に求めている情報や目的を指します。以下の4種類に分類されます:
Knowクエリ(情報収集型): 情報や知識を求める検索。「MAツールとは」「SEO 始め方」など。コンテンツマーケティングで最も重視されるクエリです。
Doクエリ(行動型): 何かをしたい、実行したいという検索。「MAツール 導入手順」「WordPress インストール」など。
Goクエリ(案内型): 特定のサイトに行きたいという検索。「HubSpot ログイン」「Google Analytics」など。
Buyクエリ(購入型): 商品・サービスを購入したいという検索。「MAツール 購入」「Salesforce 料金」など。
コンテンツマーケティングでは、Knowクエリ(情報収集型)を中心にキーワードを選定することが推奨されます。ユーザーが問題解決や情報を求めて検索するキーワードを優先しましょう。
(3) コンバージョン可能性の評価
検索ボリュームだけに注目すると、アクセス数は多くても成約や問い合わせにつながらないキーワードを選んでしまうリスクがあります。
例えば、「SEO とは」は検索ボリュームが大きいですが、初心者の情報収集段階のユーザーが多く、すぐにコンバージョンする可能性は低いです。一方、「SEOコンサルティング 費用」は検索ボリュームは小さいですが、導入を検討している見込み客が多く、コンバージョン可能性が高いです。
ペルソナの「抱えている悩み・問題」にフォーカスし、自社サービスの解決策を提示できるキーワードを優先しましょう。
(4) ロングテールキーワード戦略
ロングテールキーワードは、検索ボリュームは小さいですが、以下のメリットがあります:
- 競合が少なく、上位表示しやすい
- 検索意図が明確で、コンバージョン率が高い
- 複数のロングテールキーワードで上位表示すれば、合計で大きな流入を獲得できる
初期段階ではロングテールキーワードから着手し、ドメインパワーが強化されたらミドル・ビッグキーワードに挑戦する戦略が効果的です。
4. コンテンツへのキーワード配置と最適化
選定したキーワードを、どのようにコンテンツに配置すべきでしょうか。
(1) タイトル・見出し(H2/H3)への配置
タイトル: プライマリキーワードを必ず含めます。できるだけ前方に配置することで、SEO効果が高まります。
例:「SEOキーワード選定の方法とコツ|初心者向けガイド」
H2見出し: プライマリキーワードまたはセカンダリキーワードを含めます。
H3見出し: セカンダリキーワードやLSIキーワードを自然に含めます。
(2) 本文での自然な使用(キーワードスタッフィング回避)
キーワードを本文に配置する際、以下の点に注意しましょう:
自然な文章を優先: キーワードを無理に詰め込む「キーワードスタッフィング」は、Googleからペナルティを受けるリスクがあります。自然な文章の中に適切に配置しましょう。
LSIキーワードを活用: 共起語を自然に含めることで、コンテンツの関連性を高め、SEO効果を向上させます。
最初の段落に配置: 記事の冒頭100-200文字以内にプライマリキーワードを含めると、SEO効果が高まります。
(3) メタタグ(description、title)の最適化
meta title: 30-35文字程度で、プライマリキーワードを前方に配置します。
例:「SEOキーワード選定の方法|初心者向けガイド」
meta description: 90-120文字で記事の要約を記載し、プライマリキーワードを自然に含めます。検索結果に表示されるため、ユーザーのクリック率(CTR)に影響します。
(4) キーワードカニバリゼーション回避
キーワードカニバリゼーションとは、同じサイト内の複数ページが同じキーワードで競合してしまう状態です。評価が分散し、どのページも上位表示されないリスクがあります。
対策: 各記事に異なるプライマリキーワードを設定し、重複を避けます。既存記事と新規記事が同じキーワードを狙う場合は、どちらかをcanonical設定するか、記事を統合しましょう。
5. キーワード戦略の効果測定と改善
キーワード選定後は、効果を測定し、継続的に改善することが重要です。
(1) 検索順位・流入・CVの追跡
以下の指標を定期的に追跡しましょう:
検索順位: GRCやAhrefsの順位追跡機能を使い、狙ったキーワードの順位変動を監視します。
流入数: Googleアナリティクスで、各キーワードからの流入数を確認します。
コンバージョン(CV): 問い合わせ・資料請求・会員登録など、コンバージョン数をキーワード別に追跡します。流入は多いがCVが少ないキーワードは、記事内容の見直しが必要です。
(2) 3ヶ月に1回の定期的なキーワード見直し
市場動向や検索トレンドは常に変化します。最低でも3ヶ月に1回は、以下の見直しを行いましょう:
- 新たに検索ボリュームが増えたキーワードを追加
- 検索ボリュームが減少したキーワードは優先度を下げる
- 上位表示できているキーワードはさらに強化
- 上位表示できていないキーワードは戦略を見直す
(3) AI Overview機能の影響とCTR低下への対策
2024年8月にGoogleがAI Overview機能を日本で公開したことで、上位表示でもCTRが低下するリスクがあります。
対策:
- より有益で高品質なコンテンツを作成し、AI要約では伝わらない価値を提供
- 独自の事例・データ・実験結果など、他サイトにはない情報を盛り込む
- ビジュアル要素(図解・表・動画)を充実させ、AIテキスト要約との差別化を図る
AI時代だからこそ、キーワード選定を適切に行い、検索意図に応える高品質なコンテンツを作成することが重要です。
6. まとめ:コンテンツキーワード戦略成功のポイント
コンテンツキーワードの選び方は、SEO成果の8-9割を左右する重要な施策です。成功のポイントを整理しましょう。
コンテンツキーワード戦略成功のポイント:
- キーワード選定でSEOの成果が決まるため、リサーチに時間をかける
- ビッグキーワードばかり狙わず、ロングテールキーワードから着手する
- コンテンツマーケティングではKnowクエリ(情報収集型)を中心に選定
- Googleキーワードプランナー、Ahrefs、ラッコキーワード等のツールを活用
- キーワードスタッフィングを避け、自然な文章に配置する
- 3ヶ月に1回は定期的にキーワードを見直し、市場変化に対応する
次のアクション:
- 自社サイトの既存記事について、Googleサーチコンソールで流入キーワードを確認する
- ラッコキーワードで関連キーワードを洗い出し、ロングテールキーワードを発見する
- 競合サイトをAhrefsで分析し、流入キーワードを把握する
- キーワード選定シートを作成し、検索ボリューム・競合性・検索意図・優先度を整理する
キーワード選定の手法は常に進化しています。Google公式情報を定期的に確認し、最新のSEOトレンドに対応しましょう。
※この記事は2024年11月時点の情報です。AI Overview機能の影響は今後も変化する可能性があるため、Google公式情報をご確認ください。
