BtoBマーケティングオートメーション(MA)とは?導入メリット・活用法・選定ポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

BtoB企業でマーケティングオートメーションが必要な理由

リード獲得から商談化まで、長期にわたる検討プロセスを経るBtoB営業において、「展示会で獲得したリードが放置されている」「どのリードを優先すべきか分からない」「営業とマーケティングで情報が断絶している」といった課題は深刻です。こうした状況を解決し、マーケティング活動を効率化・自動化するために、マーケティングオートメーション(MA)の導入が注目されています。

この記事では、BtoB企業向けMAの基礎知識から主要機能、ツール選定のポイント、導入事例、失敗パターンまで、実務担当者向けに詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • BtoB MAは長期的なリード育成(ナーチャリング)と営業連携に強みがある
  • 日本のMA市場は2024年に約612億円規模、2033年には1,272億円まで成長予測(CAGR 8.5%)
  • リードスコアリング機能で見込み度の高い顧客を抽出し、営業効率が向上
  • 費用相場は月額5〜20万円、大企業向けでは月額100万円以上の場合もある
  • リード数が少ない段階では費用対効果が合わない可能性があり、月間50件以上が導入の目安

(1) BtoBの商談サイクルとMA導入の背景

BtoB企業では、購買までの検討期間が数ヶ月から1年以上に及ぶことが一般的です。この長い商談サイクルの中で、見込み顧客(リード)を育成し、購買意欲を高める活動(ナーチャリング)が不可欠です。しかし、手作業でリードを管理し、タイミングよくフォローアップするのは現実的に困難です。

コロナ禍以降、対面営業の機会が減少し、デジタルを活用した顧客関係構築がさらに重要になっています。MAツールは、リード獲得から商談化までのプロセスを自動化・省力化し、営業とマーケティングの連携を強化する戦略的プラットフォームへと進化しています。

(2) MA市場の動向と成長予測

日本のマーケティングオートメーション市場は、2024年に約612億円規模に達しており、2033年には1,272億円まで成長すると予測されています(年平均成長率8.5%)。この成長の背景には、企業のデジタル化推進、営業プロセスの効率化ニーズ、リモートワークの定着などがあります。

BtoB向けマーケティングオートメーションの基礎知識

(1) MAとは何か

マーケティングオートメーション(MA)とは、リード獲得から商談化までのマーケティングプロセスを自動化するツールです。具体的には、以下のプロセスを自動化・効率化します:

  • リード獲得: Webフォーム、ランディングページの作成
  • リード育成: メール配信、コンテンツ提供、シナリオ設計
  • リード選別: スコアリングによる確度の高いリードの抽出
  • 営業連携: CRM/SFAとのデータ連携
  • 効果測定: 開封率、クリック率、コンバージョン率の分析

(2) MA・CRM・SFAの違いと使い分け

MA(マーケティングオートメーション): リード獲得から育成、商談化までのマーケティングプロセスを自動化。主にマーケティング部門が利用。

CRM(顧客関係管理): 顧客情報を一元管理し、顧客との関係性を強化するシステム。マーケティング、営業、カスタマーサクセス部門が横断的に利用。

SFA(営業支援システム): 営業活動を効率化し、案件管理・予実管理を行うツール。主に営業部門が利用。

BtoB企業では、これら3つのシステムを連携させることで、リード獲得→育成→商談→受注→カスタマーサクセスまでの一連のプロセスを効率化できます。

(3) BtoB MAとBtoC MAの違い

BtoC向けMAは大量の顧客に対して短期間で購買を促すことに重点を置きます。一方、BtoB向けMAは以下の特徴があります:

  • 長期的なリード育成: 数ヶ月から1年以上かけてナーチャリング
  • 複数の意思決定者: 担当者、上司、役員など複数人が関与
  • 営業連携の重要性: リードを営業にパスし、商談化を支援
  • 匿名顧客へのアプローチ: Cookie情報から匿名の見込み顧客にもアプローチ(SATORIなど)

BtoB MAの主要機能と活用法

(1) リードスコアリング機能

リードスコアリングとは、見込み顧客の属性(企業規模、業種、役職等)やエンゲージメント(資料ダウンロード、ページ閲覧、メール開封等)を分析し、関心度や購買確度を数値化する手法です。スコアの高いリードを優先的に営業にパスすることで、営業効率が向上します。

NECの事例では、スコアリング機能を活用することで、メールのクリック率(CTR)が約7倍に向上しました。

(2) リードナーチャリング機能

リードナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高める活動です。MAツールでは、以下のようなナーチャリング施策を自動化できます:

  • ステップメール配信: 資料ダウンロード後、段階的に情報を提供
  • シナリオメール: 顧客の行動(ページ閲覧、メール開封等)に応じてパーソナライズされたメールを配信
  • リターゲティング: 一度離脱した顧客に再アプローチ

富士フイルムの事例では、MAシナリオメールを活用することで、高額商材の商談化に成功しています。

(3) 営業連携とプロセスの可視化

MAツールとCRM/SFAを連携させることで、リード情報を一元管理し、営業とマーケティングの連携が強化されます。VAIOの事例では、MA導入により営業プロセスの「見える化」を実現し、どのリードがどの段階にあるかを可視化できるようになりました。

(4) クロスチャネルマーケティング機能

メール配信だけでなく、Webサイト、アプリ、SNS、ウェビナーなど複数のチャネルで顧客にアプローチすることで、顧客接点を最大化できます。Adobe Marketo Engageは700以上の外部サービスと連携可能で、クロスチャネルマーケティングを実現します。

MAツール選定のポイントと主要ツール比較

(1) ツール選定の3つの基準

①企業規模・リード数: 小規模企業(リード数月間50件未満)は無料プランや低価格ツール(HubSpot Starterなど)、大企業(リード数月間数千件以上)は高機能ツール(Marketo Engage、Pardot等)が適切です。

②必要な機能: リードスコアリング、ナーチャリング、営業連携、匿名顧客へのアプローチなど、自社に必要な機能を明確にしましょう。

③サポート体制: 海外製ツールは高機能ですが複雑で習熟に時間がかかる場合があります。国産ツール(SATORI等)は日本語サポートが充実しており、即日運用開始可能な場合もあります。

(2) 企業規模・業種別の選定ポイント

小規模企業(従業員50人未満): HubSpotの無料プラン、またはSATORIなどコストを抑えつつ基本機能を利用できるツールが推奨されます。

中堅企業(従業員50〜500人): HubSpot Professional、Adobe Marketo Engageなど、営業連携機能が充実したツールが適切です。

大企業(従業員500人以上): Adobe Marketo Engage、Salesforce Pardot、Oracle Eloquaなど、複雑なシナリオ設計や大量のリード管理が可能なエンタープライズ向けツールが推奨されます。

(3) 費用相場と料金体系

導入時の費用相場は月額5〜20万円程度が中心価格帯です。大企業向けツールでは月額100万円以上かかる場合もあります。HubSpotなど無料プランがあるツールもあり、小規模企業でも導入しやすくなっています。

※料金プランは変更される可能性があります。導入前に各ツールの公式サイトで最新情報を確認してください。(2025年12月時点)

導入事例と失敗パターン

(1) BtoB企業の成功事例(NEC、TOPPAN、VAIO、富士フイルム等)

NEC: スコアリング機能を活用し、メールのクリック率(CTR)が約7倍に向上。確度の高いリードに絞り込むことで営業効率が改善。

TOPPAN: Adobe Marketo Engageを部門横断的に活用。マーケティング、営業、カスタマーサクセスでリード情報を一元管理し、顧客体験を向上。

VAIO: MA導入で営業プロセスの「見える化」を実現。どのリードがどの段階にあるかを可視化し、営業とマーケティングの連携を強化。

富士フイルム: MAシナリオメールで高額商材の商談化に成功。顧客の行動に応じてパーソナライズされたメールを配信し、購買意欲を高めた。

※これらの事例は企業規模・業種・リソースにより結果が異なります。導入効果は個別の状況に依存します。

(2) よくある失敗パターンと対策

失敗パターン①: ツール導入だけで成果が出ると期待 MAツールは「導入すれば自動的に成果が出る魔法のツール」ではありません。運用体制(担当者のスキル、シナリオ設計、コンテンツ制作)が整わなければ効果は出ません。

対策: 導入前に運用体制を整備し、担当者のトレーニングを実施しましょう。

失敗パターン②: リード数が少ない段階で導入 リード数が月間50件未満の場合、費用対効果が合わない可能性があります。まずはスプレッドシートやCRMで管理し、リード数が増えてから検討するのが適切です。

対策: 月間リード数が50件以上になってから導入を検討しましょう。

失敗パターン③: 複雑すぎるツールを選んで使いこなせない 海外製の高機能ツールは複雑で、習熟に時間がかかる場合があります。

対策: 自社のリソース・スキルに合ったツールを選び、必要に応じてベンダーのサポートや外部コンサルを活用しましょう。

まとめ:自社に合ったMAツールの選び方

BtoB向けマーケティングオートメーションは、長期的なリード育成と営業連携を強化し、マーケティング活動を効率化する戦略的プラットフォームです。導入にあたっては、企業規模・リード数・必要な機能・サポート体制を明確にし、自社に合ったツールを選択することが重要です。

次のアクション:

  • 自社の月間リード数を確認する(50件未満の場合は導入を見送る選択肢も検討)
  • 必要な機能(スコアリング、ナーチャリング、営業連携等)を洗い出す
  • 複数のツール(HubSpot、Marketo Engage、SATORI等)の公式サイトで最新の機能・料金を確認する
  • 無料トライアルで実際に操作性を試す
  • 運用体制(担当者、シナリオ設計、コンテンツ制作)を整備する

自社に合ったMAツールで、リード獲得・育成・商談化の効率化とマーケティングROIの向上を実現しましょう。

よくある質問

Q1BtoB MA導入の費用相場はどれくらい?

A1月額5〜20万円程度が中心価格帯です。大企業向けツールでは月額100万円以上の場合もあります。HubSpotなど無料プランがあるツールもあり、小規模企業でも導入しやすくなっています。最新の料金プランは各ツールの公式サイトで確認してください。

Q2リード数が少ない段階でもMA導入すべき?

A2リード数が月間50件未満の場合、費用対効果が合わない可能性があります。まずはスプレッドシートやCRMで管理し、月間リード数が50件以上になってから検討するのが推奨されます。

Q3MA導入後、どのくらいで効果が出る?

A3BtoBは商談サイクルが長いため、導入後3〜6ヶ月で効果を評価することが多いです。スコアリング機能などは導入直後から活用可能ですが、ナーチャリング効果の測定には中長期的な視点が必要です。

Q4MA、CRM、SFAの違いは?

A4MAはリード獲得から育成・商談化までのマーケティングプロセスを自動化するツールです。CRMは顧客情報を一元管理し関係性を強化、SFAは営業活動を効率化し案件管理を行います。BtoB企業ではこれら3つを連携させることで効率化できます。

Q5匿名の見込み顧客にもアプローチできる?

A5国産MAツールのSATORIなど、Cookie情報から匿名の見込み顧客にもアプローチできる機能を持つツールがあります。Webサイト訪問者の行動履歴を追跡し、パーソナライズされたコンテンツを提供することで、問い合わせ前の段階から関係構築が可能です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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