Microsoft Teamsでウェビナーを開催する方法:機能・設定・運営のポイント

著者: Decisense編集部公開日: 2025/12/3

Microsoft Teamsでウェビナーを始めたいけれど、設定や運営方法が分からない...

「社内で既にTeamsを使っているけれど、ウェビナー機能は使ったことがない」「ZoomやWebexとどう違うの?」「追加費用はかかるの?」

B2Bデジタルプロダクト企業のマーケティング・営業担当者にとって、ウェビナーは見込み客との接点を作る重要な施策です。既にMicrosoft Teamsを社内で利用している企業であれば、追加コストなしでウェビナーを開催できる可能性があります。

この記事では、Teamsウェビナーの機能・設定手順・運営のポイントを、Zoom等の他ツールとの比較を交えて解説します。実務ですぐに使える具体的な手順をご紹介します。

この記事のポイント:

  • 既にMicrosoft 365を契約している企業は、追加費用なしでウェビナーを開催できる可能性がある
  • Teamsウェビナーは最大1,000人まで参加可能(Zoomは最大10,000人)
  • 参加者にはTeamsライセンスやアカウントが不要で、メールのURLから簡単に参加できる
  • 登録フォームのカスタマイズ、Q&A機能、レポート機能が標準搭載
  • ライブイベント機能は2024年9月に廃止され、タウンホール機能に移行

1. なぜTeamsでウェビナーを開催するのか

(1) B2Bマーケティングにおけるウェビナーの役割

B2Bデジタルプロダクトのマーケティングにおいて、ウェビナーは以下の役割を担います。

ウェビナーの主な目的:

  • リード獲得: 登録フォームでメールアドレス等の情報を取得
  • 製品・サービスの認知拡大: 専門性の高い情報を提供し、信頼性を向上
  • 見込み客の育成: 購買プロセスの検討段階で詳細な情報を提供
  • 双方向コミュニケーション: Q&A機能で参加者の疑問にリアルタイムで回答

ウェビナーは、ブログ記事やホワイトペーパーよりもインタラクティブ性が高く、参加者との関係構築に効果的と言われています。

(2) 既存のTeams契約を活用するメリット

既にMicrosoft 365を導入している企業にとって、Teamsウェビナーには以下のメリットがあります。

Teamsウェビナーのメリット:

  • 追加コストなし: 既存のMicrosoft 365契約に含まれる場合が多い(プランによって異なるため要確認)
  • 操作の習熟度: 社内でTeamsを日常的に使っている場合、新しいツールの学習コストが不要
  • セキュリティ統一: 既存のMicrosoft 365のセキュリティポリシーをそのまま適用できる
  • データ統合: 参加者情報をMicrosoft 365のエコシステム内で管理可能

ただし、ウェビナー専用ツールと比較すると、機能面で制約がある場合もあります。次のセクションで詳しく比較します。

2. Teamsウェビナーの基礎知識

(1) ウェビナー・会議・タウンホールの違い

Microsoft Teamsには、用途に応じて3種類のイベント形式があります。

Teams会議:

  • 最大参加者数: 1,000人(プランにより300人の場合もあり)
  • 用途: 社内会議、少人数の打ち合わせ
  • 双方向性: 全員がカメラ・マイクをオンにして発言可能
  • 登録管理: 基本的になし(カレンダー招待のみ)

Teamsウェビナー:

  • 最大参加者数: 1,000人
  • 用途: 外部向けセミナー、リード獲得施策
  • 双方向性: Q&A機能で質問を受け付け(参加者は基本的に視聴のみ)
  • 登録管理: カスタマイズ可能な登録フォーム、レポート機能

タウンホール:

  • 最大参加者数: 10,000人(プランにより異なる)
  • 用途: 全社員向け大規模配信、数千人規模のイベント
  • 双方向性: 限定的(Q&A機能あり)
  • 登録管理: あり

※ライブイベント機能は2024年9月30日に廃止され、タウンホール機能に移行しています(出典: Microsoft Learn)。

使い分けの目安:

  • 参加者50人以下、双方向の議論が必要 → Teams会議
  • 参加者1,000人以下、外部向けセミナー → Teamsウェビナー
  • 参加者1,000人超、大規模配信 → タウンホール

(2) Teamsウェビナーの主要機能(登録管理・Q&A・レポート)

Teamsウェビナーには、以下の機能が標準搭載されています。

登録フォームのカスタマイズ:

  • 参加者の氏名・メールアドレス・会社名・役職などを収集可能
  • 自由記述欄を追加して、参加理由や質問事項を事前に収集できる
  • 登録完了後、自動で参加URLを記載したメールを送信

Q&A機能:

  • ウェビナー中に参加者が質問を投稿
  • 主催者側がリアルタイムで回答、または質問を公開して他の参加者にも共有
  • 質問の優先順位付け(投票機能)

レポート機能:

  • 登録者数・参加者数・滞在時間などのデータを確認可能
  • 参加者リストをダウンロードして、後続のマーケティング施策に活用

これらの機能により、ウェビナー開催前後の業務を効率化できます。

(3) 最大参加者数とライセンス要件

最大参加者数: Teamsウェビナーは最大1,000人まで参加可能です(出典: Microsoft Learn)。1,000人を超える場合は、タウンホール機能を利用します。

ライセンス要件:

  • 主催者側: Microsoft 365 Business Standard以上のライセンスが必要(プランによって利用可能な機能が異なるため、事前確認が推奨されます)
  • 参加者側: Teamsのライセンスやアカウントは不要。メールで送られた参加URLをクリックするだけで、ブラウザから参加可能

この点は、参加者もアカウント登録が必要なツールと比較して、参加ハードルが低いと言えます。

3. 他のツールとの機能比較

(1) Zoom vs Teams:参加者数・料金体系の違い

ウェビナーツールとして代表的なZoomとTeamsを比較します。

参加者数の上限:

  • Zoom ウェビナー: 最大10,000人(プランにより100人・500人・1,000人・3,000人・5,000人・10,000人)
  • Teams ウェビナー: 最大1,000人
  • Teams タウンホール: 最大10,000人(プランにより異なる)

大規模ウェビナー(1,000人超)を頻繁に開催する場合は、Zoomまたはタウンホールが選択肢になります。

料金体系:

  • Zoom ウェビナー: 月額5,400円〜(100人プラン)、上位プランは別途見積もり(2025年時点)
  • Teams ウェビナー: Microsoft 365 Business Standard(月額1,560円/ユーザー)に含まれる場合が多い

既にMicrosoft 365を契約している企業は、Teamsが追加費用なしで利用できる可能性があります。ただし、プランによって利用可能な機能が異なるため、公式サイトで最新の料金・機能を確認してください(この記事は2025年11月時点の情報です)。

(2) Zoom vs Teams:使いやすさと機能の違い

使いやすさ: 複数の情報源によると、「使いやすさと大衆性においてZoomに軍配が上がる」という評価があります(出典: まるなげセミナー)。Zoomはウェビナー専用ツールとして設計されているため、直感的な操作性が特徴です。

一方、Teamsは社内コミュニケーションツールとしての側面が強く、ウェビナー専用機能としては後発のため、一部の機能がZoomより少ないケースがあります。

機能の違い:

  • Zoom: ウェビナー専用機能が豊富(投票機能、ブレイクアウトルーム、ウェビナー後のアンケート自動送信など)
  • Teams: Microsoft 365エコシステムとの統合が強み(SharePoint、OneDrive、Outlookとの連携)

選び方のポイント:

  • 既にMicrosoft 365を契約しており、1,000人以下のウェビナーが中心 → Teams
  • 大規模ウェビナー(1,000人超)を頻繁に開催 → Zoom
  • ウェビナー専用の高度な機能が必要 → Zoom
  • 追加コストを抑えたい → Teams(既存契約で利用可能な場合)

(3) Teams会議 vs ウェビナー vs タウンホールの使い分け

Teams内でも、用途に応じて使い分けが重要です。

Teams会議を選ぶ場合:

  • 社内の定例ミーティング
  • 少人数(50人以下)の双方向議論
  • 登録管理が不要

Teamsウェビナーを選ぶ場合:

  • 外部向けセミナー(リード獲得目的)
  • 参加者1,000人以下
  • 登録フォームで参加者情報を収集したい
  • Q&A機能でインタラクティブ性を確保

タウンホールを選ぶ場合:

  • 全社員向け大規模配信
  • 参加者1,000人超
  • 一方向の情報発信が中心

用途を明確にしてから、適切な形式を選択しましょう。

4. ウェビナー開催準備と設定手順

(1) ウェビナーの作成手順(カレンダーから設定)

Teamsウェビナーの作成は、カレンダーから簡単に行えます。

作成手順:

  1. Teamsアプリを開き、左側メニューから「カレンダー」を選択
  2. 右上の「新しい会議」をクリック
  3. ドロップダウンメニューから「ウェビナー」を選択
  4. ウェビナーのタイトル・日時・説明を入力
  5. 「登録が必要」をオンにすると、登録フォームが自動生成される
  6. 「保存」をクリックして作成完了

作成後、登録フォームのURLが生成されるので、メールやSNSで告知します。

(2) 登録フォームのカスタマイズ

登録フォームは、収集したい情報に応じてカスタマイズできます。

カスタマイズ可能な項目:

  • 氏名(必須)
  • メールアドレス(必須)
  • 会社名
  • 役職
  • 自由記述欄(参加理由、質問事項など)

カスタマイズ手順:

  1. 作成したウェビナーの詳細画面を開く
  2. 「登録フォーム」タブを選択
  3. 「質問を追加」をクリックして、必要な項目を追加
  4. 各項目の「必須」「任意」を設定
  5. 「保存」をクリック

登録フォームで収集した情報は、ウェビナー後のマーケティング施策(メール配信、リード育成)に活用できます。

(3) 参加者への案内とリマインダー設定

登録者には、自動でメールが送信されます。

自動送信されるメール:

  • 登録完了メール(参加URLを記載)
  • リマインダーメール(開催前日・1時間前など、設定により変更可能)

リマインダー設定手順:

  1. ウェビナーの詳細画面で「メール設定」を選択
  2. リマインダーの送信タイミングを設定(例: 開催1日前、1時間前)
  3. メール本文をカスタマイズ(デフォルト文面を編集可能)
  4. 「保存」をクリック

リマインダーを設定することで、参加率の向上が期待できます。

(4) 事前リハーサルのチェックリスト

ウェビナー当日のトラブルを避けるため、必ず事前リハーサルを行います。

リハーサルのチェックリスト:

  • カメラ・マイクの動作確認
  • 画面共有の動作確認(資料が正しく表示されるか)
  • Q&A機能の操作確認(質問の受付・回答方法)
  • ネットワーク接続の安定性確認
  • 登録フォームの動作確認(テスト登録してメールが届くか)
  • 録画機能の動作確認(録画開始・停止の操作)

複数人で役割分担する場合(進行役・Q&A担当・技術サポートなど)は、チーム全体でリハーサルを行うことが推奨されます。

5. 運営実務のポイント

(1) 当日の進行と画面共有・Q&A運用

ウェビナー当日は、以下の流れで進行します。

当日の進行例:

  1. 開始10分前: ウェビナールームを開き、参加者の入室を開始
  2. 開始時: 主催者が挨拶、アジェンダの説明
  3. 本編: 画面共有で資料を提示しながら説明
  4. Q&Aセッション: 参加者からの質問に回答
  5. 終了時: お礼の挨拶、次回予告(あれば)、アンケートURLの案内

画面共有のポイント:

  • 画面共有開始前に、不要なウィンドウを閉じる(通知・個人情報の映り込みを防ぐ)
  • 「ウィンドウ」単位で共有すると、他のアプリケーションが映り込まない

Q&A運用のポイント:

  • Q&A担当者を別途配置すると、進行役が本編に集中できる
  • 質問が多い場合は、優先順位をつけて重要なものから回答
  • 時間内に答えられなかった質問は、ウェビナー後にメールで回答すると丁寧な印象を与える

(2) ウェビナー後のレポート分析

ウェビナー終了後、参加者データを分析します。

レポートで確認できる項目:

  • 登録者数 vs 実際の参加者数(参加率の確認)
  • 参加者の滞在時間(途中離脱率の確認)
  • Q&Aで投稿された質問内容(参加者の関心事を把握)

レポートの活用方法:

  • 参加率が低い場合: リマインダーメールの内容・タイミングを見直す
  • 途中離脱率が高い場合: コンテンツの長さ・構成を見直す
  • Q&A内容を分析: よくある質問をFAQページに追加、次回のコンテンツ企画に反映

参加者リストはダウンロードして、CRMやMAツールにインポートし、後続のリード育成施策に活用します。

(3) 録画データの活用と二次利用

Teamsウェビナーは録画機能が標準搭載されています。

録画データの活用方法:

  • オンデマンド配信: 録画データをWebサイトに掲載し、当日参加できなかった人向けにオンデマンド視聴を提供
  • コンテンツ再利用: ウェビナーの一部を切り出して、SNS投稿や短尺動画として活用
  • 社内共有: 営業チームに共有し、商談時の資料として活用

録画データの管理:

  • 録画データはOneDrive for Businessに自動保存される
  • 共有範囲を設定し、社外に公開する場合は誤って機密情報が含まれていないか確認

録画データを二次利用することで、ウェビナーの投資対効果を最大化できます。

6. まとめ:Teamsウェビナーを成功させるために

Microsoft Teamsウェビナーは、既にMicrosoft 365を契約している企業にとって、追加コストなしでリード獲得施策を始められる有効な手段です。最大1,000人まで参加可能で、登録フォーム・Q&A機能・レポート機能が標準搭載されています。

Zoomと比較すると、大規模ウェビナー(1,000人超)や高度なウェビナー専用機能が必要な場合はZoomが適していますが、中小規模のB2BウェビナーであればTeamsで十分対応可能です。

次のアクション:

  • 自社のMicrosoft 365プランでウェビナー機能が利用可能か確認する
  • テストウェビナーを作成し、登録フォーム・Q&A機能を試す
  • 事前リハーサルで操作に慣れる
  • 最初のウェビナーを小規模(50人以下)で開催し、運営フローを確立する

ウェビナー開催は準備が重要ですが、一度フローを確立すれば、継続的なリード獲得施策として活用できます。自社の状況に合わせて、Teamsウェビナーの導入を検討してみてください。

よくある質問

Q1Teamsのライセンスがない人も参加できる?

A1参加者にはTeamsのライセンスやアカウントは不要です。メールで送られた参加URLをクリックするだけで、ブラウザから簡単に参加できます。

Q2Zoom ウェビナーと比較してどちらを選ぶべき?

A2既にMicrosoft 365を契約している企業はTeamsが追加費用なしで有利です。参加者が1,000人を超える場合や、より多機能なウェビナー専用ツールが必要ならZoomが選択肢になります。使いやすさではZoomが評価されることが多いと言われています。

Q3参加者の上限は何名?録画はできる?

A3Teamsウェビナーは最大1,000人まで参加可能です(Zoomは最大10,000人)。録画機能は標準搭載されており、ウェビナー終了後に録画データをダウンロード・共有できます。

Q4ライブイベント機能は使える?

A4ライブイベント機能は2024年9月30日に廃止され、タウンホール機能に移行しています。大規模配信(数千人規模)にはタウンホールを、双方向性を重視するならウェビナーを選択します。

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Decisense編集部

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