オウンドメディアを広報に活用する方法|企業ブランディング・PR効果を高める運用術

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

オウンドメディアを広報に活用する意義

企業広報の担当者が「オウンドメディアを立ち上げたいが、SEO集客とは違う広報活用の方法が分からない」「プレスリリースやメディアリレーション以外の効果的な情報発信手段を探している」といった課題を抱えることは少なくありません。オウンドメディアは、SEO集客を目的としたマーケティングツールとしてだけでなく、企業ブランディングやPR効果を高める広報戦略の要としても活用できます。

この記事では、広報視点でのオウンドメディア活用方法、運用体制の構築、成功事例、効果測定まで、B2B企業の広報担当者向けに詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 広報の主戦場が「受け身のメディア露出」から「自社発信」へとシフト、オウンドメディアの重要性が増している
  • 広報型オウンドメディアは、企業のリアルや文化を届け、社会との距離感を縮めることが目的
  • プレスリリース連動、経営層の発信、企業文化・ビジョン、採用コンテンツなどを発信
  • 宣伝会議の調査では8割の企業がオウンドメディアに「プラスの効果を感じている」
  • 即効性はなく、最低1.5年かけてトピックと記事を増やし、メディアとしての力をつける必要がある

(1) 広報の主戦場が「自社発信」へとシフト

従来の広報活動は、プレスリリース配信、メディアへの情報提供、記者会見など、第三者メディア(テレビ、新聞、雑誌、Web媒体)に取り上げてもらう「受け身のメディア露出」が中心でした。しかし、デジタル時代の2025年には、広報の主戦場が「自社発信」へとシフトしています。

自社で所有・運営するオウンドメディアを通じて、企業が直接ステークホルダー(顧客、投資家、求職者、社会)に情報を届けることで、メディアフィルターを通さない一次情報の発信が可能になります。

(2) 企業のリアルを届け、社会との距離感を縮める

広報視点でのオウンドメディアは、企業のリアルを届けて社会との距離感を縮めることが重要です。商品・サービス情報だけでなく、働いている人、企業文化、ビジョン、社会貢献活動など、多面的な情報を発信することで、企業に対する理解と共感を深めることができます。

広報型オウンドメディアの基礎知識

(1) オウンドメディアとは(コーポレートサイトとの違い)

オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が所有・運営するWebサイトやブログなどのメディアです。情報発信の主導権を持てることが特徴で、自社のタイミングで自由に情報を発信できます。

コーポレートサイトとの違い:

  • コーポレートサイト: 企業の公式情報(会社概要、IR情報、採用情報、製品情報等)を掲載する公式サイト
  • オウンドメディア: 企業が運営するメディアで、読者に有益な情報を継続的に発信し、企業のリアルや文化を届けることが目的

コーポレートサイトが「企業情報の提示」を目的とするのに対し、オウンドメディアは「読者との継続的なコミュニケーション」を目的とします。

(2) PESOモデルとオウンドメディアの位置づけ

PESOモデルとは、広報PRで活用される4つのメディアを統合したモデルです:

  • Paid Media(ペイドメディア): 広告費を支払って獲得する露出(Web広告、新聞広告、テレビCM等)
  • Earned Media(アーンドメディア): 第三者メディアに取り上げられて獲得する露出(プレスリリース、記者会見等)
  • Shared Media(シェアードメディア): SNSなどで拡散される情報(Twitter、Facebook、Instagram等)
  • Owned Media(オウンドメディア): 企業が所有・運営するメディア(自社サイト、ブログ等)

PESOモデルを活用し、各メディアの特性を理解して戦略的に組み合わせることで、広報効果を最大化できます。

(3) マーケティング目的のオウンドメディアとの違い

マーケティング目的のオウンドメディアは、SEO集客、リード獲得、商談化を主な目的とします。一方、広報型オウンドメディアは以下の特徴があります:

  • 目的: 企業ブランディング、PR効果向上、社会との関係構築
  • ターゲット: 顧客だけでなく、投資家、求職者、社会全体
  • コンテンツ: 商品・サービス情報だけでなく、企業文化、ビジョン、社会貢献活動、経営層の発信など多面的
  • KPI: PV数やリード数ではなく、ブランド認知度、メディア掲載数、採用応募数などを重視

広報視点でのオウンドメディア活用方法

(1) 企業ブランディングと企業文化・ビジョンの発信

広報型オウンドメディアでは、企業のミッション、ビジョン、バリューを継続的に発信し、企業ブランドを確立します。具体的には:

  • 企業文化の紹介: 社員インタビュー、社内イベント、働き方の紹介
  • ビジョンの発信: 経営層のメッセージ、中長期経営計画、社会的使命
  • 社会貢献活動: CSR活動、サステナビリティへの取り組み、SDGs対応

(2) プレスリリース連動とメディアリレーション

プレスリリースを配信した後、オウンドメディアで詳細情報や背景ストーリーを発信することで、メディアリレーションを強化できます:

  • プレスリリースの詳細解説: プレスリリースでは伝えきれない詳細情報、開発秘話、今後の展望等
  • 記者向けの補足資料: 画像、動画、データ等をオウンドメディアで公開し、記者が記事化しやすい環境を整備
  • 過去のプレスリリースアーカイブ: プレスリリースを時系列で整理し、企業の歴史を可視化

(3) 採用広報への応用

採用広報(リクルーティングPR)の手段としてオウンドメディアを活用することで、企業文化に共感する人材を惹きつけることができます:

  • 社員ストーリー: 社員の働き方、キャリアパス、やりがいを紹介
  • 職場環境の紹介: オフィスツアー、リモートワーク環境、福利厚生の紹介
  • 採用イベントレポート: 会社説明会、インターンシップの様子を発信

(4) 経営層の発信とソートリーダーシップ

経営層(CEO、CTO、CFO等)が業界動向や経営哲学を発信することで、企業のソートリーダーシップ(thought leadership)を確立できます:

  • 経営層のコラム: 業界トレンド、経営哲学、社会課題への見解
  • 決算説明会の解説: 決算発表の背景、今後の戦略を分かりやすく解説
  • 対談・インタビュー: 社外の識者・経営者との対談で多様な視点を提示

運用体制の構築と成功のポイント

(1) 運用体制の構築(役割分担・リソース確保)

オウンドメディアを成功させるには、継続的な運用体制の構築が不可欠です:

  • 編集長(責任者): 戦略立案、コンテンツ企画、品質管理を統括
  • ライター・編集者: 記事制作、取材、編集を担当
  • デザイナー: ビジュアル制作、UI/UXデザイン
  • エンジニア: サイト構築、保守、アクセス解析

小規模企業の場合、広報担当者が兼任するケースが多いですが、外部ライターや制作会社を活用することで運用負荷を軽減できます。

(2) コンテンツ制作の継続体制

宣伝会議の調査では、「コンテンツ数の維持」が課題として挙げられています。継続的なコンテンツ制作には以下の工夫が有効です:

  • コンテンツカレンダーの作成: 年間・月間のコンテンツ計画を立て、ネタ切れを防ぐ
  • 社内ライターの育成: 各部門から情報発信担当者を募り、社内ライターとして育成
  • 外部リソースの活用: 制作会社やフリーランスライターに一部を委託

(3) SNSやメールニュースレターとの連携

オウンドメディアの効果最大化には、SNSやメールニュースレターとの連携が必須です:

  • SNS連携: Twitter、LinkedIn、Facebookで記事を拡散し、Shared Mediaとしての効果を得る
  • メールニュースレター: 定期的に新着記事を配信し、読者との継続的な関係を構築
  • 社内共有: 社員にも記事を共有し、社内広報としての効果を得る

(4) 最低1.5年の継続運用が必要な理由

オウンドメディアには即効性がなく、最低1.5年かけてトピックと記事を増やし、メディアとしての力をつける必要があります。短期間で効果を求めると失敗リスクが高まります。

継続運用のメリット:

  • 記事の蓄積: 過去記事がロングテールで読まれ続ける
  • ブランド認知度の向上: 継続的な発信により、企業のファンが増加
  • SEO効果: 記事数が増えることで、検索エンジンからの流入も増加

成功事例と広報効果の測定

(1) 目的別の成功事例(ブランディング、採用、リード獲得等)

広報PR担当者が選ぶオウンドメディアの成功事例として、以下のような目的別の活用が報告されています:

  • ブランディング: 企業のビジョン・ミッションを継続的に発信し、ブランド認知度を向上
  • 採用: 社員ストーリーや職場環境の紹介により、採用応募数が増加
  • リード獲得: BtoB企業が専門知識を発信し、見込み顧客を獲得
  • 広告費削減: オウンドメディアでの情報発信により、有料広告への依存度を低減

※これらの事例は企業規模・業種・リソースにより結果が異なります。導入効果は個別の状況に依存します。

(2) 広報効果の測定指標

広報型オウンドメディアでは、以下のような指標で効果を測定します:

  • 定量指標: PV数、UU数、滞在時間、SNSシェア数、メディア掲載数、採用応募数
  • 定性指標: ブランド認知度調査、社会からの評価、メディアからの問い合わせ増加

宣伝会議の調査では、8割の企業がオウンドメディアに「プラスの効果を感じている」と回答しています。

(3) 2025年の広報トレンドとオウンドメディアの役割

2025年の広報トレンドとして、以下の要素がオウンドメディアの重要性を高めています:

  • 生成AIの進化: AIを活用したコンテンツ制作の効率化、パーソナライズされた情報発信
  • Z世代・α世代の台頭: デジタルネイティブ世代へのリーチ手段としてオウンドメディアが有効
  • サステナビリティ志向の強化: 企業のSDGs対応やCSR活動を発信する場としてオウンドメディアが活用される

デジタル時代では、オウンドメディア、従来型メディア連携(アーンドメディア)、危機管理広報までの包括的アプローチが必要です。

まとめ:広報型オウンドメディアを成功させるために

広報視点でのオウンドメディアは、SEO集客とは異なり、企業ブランディングやPR効果を高める戦略的ツールです。企業のリアルを届け、社会との距離感を縮めることで、企業に対する理解と共感を深めることができます。

次のアクション:

  • 自社の広報戦略を整理し、オウンドメディアの目的(ブランディング、採用、メディアリレーション等)を明確にする
  • 運用体制を構築し、編集長、ライター、デザイナーの役割分担を決定する
  • コンテンツカレンダーを作成し、年間・月間の発信計画を立てる
  • SNSやメールニュースレターとの連携を設計する
  • 最低1.5年の継続運用を前提に、リソース(予算・人員)を確保する
  • 成功事例を参考に、自社に合った活用方法を検討する

広報型オウンドメディアを通じて、企業のファンを増やし、社会との良好な関係を構築しましょう。

よくある質問

Q1オウンドメディアとコーポレートサイトの違いは?

A1コーポレートサイトは企業の公式情報(会社概要、IR情報等)を掲載する公式サイトです。オウンドメディアは企業が運営するメディアで、読者に有益な情報を継続的に発信し、企業のリアルや文化を届けることが目的です。コーポレートサイトが「企業情報の提示」を目的とするのに対し、オウンドメディアは「読者との継続的なコミュニケーション」を目的とします。

Q2広報視点でのオウンドメディア活用のポイントは?

A2SEO集客ではなく、企業ブランディング・PR効果を重視します。企業文化・ビジョン、プレスリリース連動、経営層の発信、採用広報など、多面的な情報を発信して社会との距離感を縮めることがポイントです。商品・サービス情報だけでなく、働いている人や社会貢献活動も発信します。

Q3オウンドメディアで効果が出るまでどのくらいかかる?

A3即効性はなく、最低1.5年かけてトピックと記事を増やし、メディアとしての力をつける必要があります。宣伝会議の調査では8割の企業が効果を実感していますが、継続的なコンテンツ制作が課題として挙げられています。短期間で効果を求めると失敗リスクが高まります。

Q4オウンドメディアの運用体制はどう構築すべきか?

A4編集長(戦略立案・品質管理)、ライター・編集者(記事制作)、デザイナー(ビジュアル制作)、エンジニア(サイト構築・保守)の役割分担が必要です。小規模企業では広報担当者が兼任するケースが多いですが、外部ライターや制作会社を活用することで運用負荷を軽減できます。

Q5広報型オウンドメディアとマーケティング型の違いは?

A5マーケティング型はSEO集客、リード獲得、商談化が目的です。広報型は企業ブランディング、PR効果向上、社会との関係構築が目的で、ターゲットは顧客だけでなく投資家、求職者、社会全体です。KPIもPV数やリード数ではなく、ブランド認知度、メディア掲載数、採用応募数などを重視します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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