オウンドメディアを事業として成功させる収益化モデルと運営体制

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/12

オウンドメディアをコストセンターから収益貢献する事業に変えたい…

B2B企業の経営企画やマーケティング責任者として、オウンドメディアを運営しているものの、「コストばかりかかって収益貢献が見えない」「事業としてどう位置づければいいのか」といった悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。

この記事では、オウンドメディアを単なるコストセンターからプロフィットセンターへ転換する収益化モデル、運営体制、KPI設計、成功事例を詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • オウンドメディアの4つの目的:集客・ブランディング・売上向上・リクルーティング
  • 収益化モデル3種類:事業貢献モデル・広告掲載モデル・ハイブリッド型
  • ferretは半年で月間100万PV達成、現在500万PV超・月間リード獲得2,500件
  • みんチャレはオウンドメディア経由ユーザーの課金率が約25%高い
  • 9割が失敗している現実、成功には明確なKPI設定・質の高いコンテンツ・継続的な運用が必須

オウンドメディアを事業として成功させる:コストセンターからプロフィットセンターへ

(1) オウンドメディアの4つの目的:集客・ブランディング・売上向上・リクルーティング

**オウンドメディア(Owned Media)**とは、企業が所有・運営する自社メディアで、Webサイト・ブログ・アプリなどを含みます(参照: SATORI)。

オウンドメディアは、以下の4つの目的で運営されます:

1. 集客(リード獲得):
検索流入やSNS経由で見込み客を集め、問い合わせ・資料請求・会員登録を獲得します。BtoB企業の90%がリード獲得・資料請求を目的としています(参照: TMCデジタル)。

2. ブランディング:
企業の価値観・専門性を発信し、「この領域ならこの会社」という認知を構築します。

3. 売上向上:
コンテンツを通じて自社商品・サービスの理解を深め、購買につなげます。EC・通販企業では商品販売の直接的な経路としても機能します。

4. リクルーティング(採用強化):
企業文化・働き方を発信し、ミスマッチを防ぎながら優秀な人材を採用します。採用オウンドメディアは増加傾向にあります(参照: TMCデジタル)。

(2) 事業としての位置づけ:単なるコストセンターから収益貢献へ

多くの企業では、オウンドメディアは「コストセンター」として扱われ、制作費・運用費・人件費がかかる一方で、明確なROI(投資対効果)が見えにくいという課題があります。

しかし、適切なマネタイズモデルとKPI設計により、プロフィットセンター(収益を生み出す事業)として位置づけることが可能です。

事業化のメリット:

  • 本業への貢献(リード獲得・商品販売)が数値で可視化される
  • 広告収益やイベント連携など、独自の収益源を構築できる
  • 長期的な資産として蓄積され、継続的に流入を生み出す

(3) BtoB企業の40%が保有、90%がリード獲得・資料請求目的(2025年)

2025年時点で、BtoB企業の40%が既にオウンドメディアを保有しており、その90%がリード獲得・資料請求を目的としています(参照: TMCデジタル)。

また、8割以上の企業が2~3年以内に運用を開始しており(参照: SATORI)、オウンドメディアはB2Bマーケティングの主要施策として定着しつつあります。

(4) この記事で解決する疑問・学べること

この記事では、以下の疑問を解決します:

  • オウンドメディアでどのように収益化できるのか?
  • どのような収益化モデルがあるのか?
  • 成功事例の具体的な数値は?
  • 事業化のための運営体制とKPI設計は?
  • 失敗しないためのポイントは?

B2B企業の実務担当者として、オウンドメディアを事業として成功させるための実践的な知識を身につけることが目標です。

オウンドメディアの収益化モデル3種類

(1) 事業貢献モデル:リード獲得→商談化、商品販売、採用強化

事業貢献モデルとは、自社商品・サービスの販売やリード獲得により本業に貢献する収益モデルです(参照: NYマーケティング)。

事業貢献モデルの具体例:

① リード獲得→商談化(BtoB企業に最適):
オウンドメディアで見込み客を集め、問い合わせ・資料請求を経て商談化し、受注につなげます。

例えば、マーケティングツール「ferret」のオウンドメディアは、半年で月間100万PV達成し、現在500万PV超・月間リード獲得2,500件を実現しています(参照: テクロ)。

② 商品販売(EC・通販企業に最適):
コンテンツから直接商品ページに誘導し、購入につなげます。ブランディングと商品販売を同時に実現できます。

例えば、「北欧、暮らしの道具店」はECサイトとオウンドメディアを統合し、ライフスタイル提案型のコンテンツで商品販売を促進しています。

③ 採用強化(全業種に有効):
企業文化・働き方を発信し、採用コストを削減しながらミスマッチを防ぎます。製造業でも採用オウンドメディアの活用が進んでいます(参照: TMCデジタル)。

(2) 広告掲載モデル:アフィリエイト・SSP・ネイティブ広告

広告掲載モデルとは、他社商品・サービスの広告を掲載して収益を得るモデルです(参照: NYマーケティング)。

広告掲載モデルの種類:

① アフィリエイト広告:
自社コンテンツ内で他社商品を紹介し、成果報酬型で収益を得ます。BtoC向けコンテンツで特に有効です。

② SSP(Supply-Side Platform):
Googleアドセンスなどのディスプレイ広告を掲載し、クリック数や表示回数に応じて収益を得ます。

③ ネイティブ広告:
コンテンツに溶け込む形式の広告を掲載し、ユーザー体験を損ねずに収益化します。

注意点:
広告掲載モデルで単体事業化するには、月間数十万PV以上の規模が必要です。少ないPVでは収益が微々たるものになります。

(3) ハイブリッド型:事業貢献と広告収益の複合

ハイブリッド型とは、事業貢献と広告収益の両方を狙う複合型のマネタイズモデルです(参照: NYマーケティング)。

ハイブリッド型の例:

  • 自社商品のリード獲得を主目的としつつ、関連する他社サービスのアフィリエイトも掲載
  • イベント連携:オウンドメディアで集客し、有料ウェビナーや会員制コミュニティで収益化(参照: モルツ

ハイブリッド型は、複数の収益源を持つことでリスク分散できる一方、運営が複雑になるため、まずは事業貢献モデルで成果を出してから拡大する方が現実的です。

(4) 自社ビジネスモデルに合わせた選定の重要性

マネタイズモデルは、自社のビジネスモデルと連動させる必要があります(参照: モルツ)。

選定基準:

  • BtoB企業(SaaS、製造業、コンサル等): 事業貢献モデル(リード獲得→商談化)が最適
  • BtoC企業(EC、通販等): 事業貢献モデル(商品販売)またはハイブリッド型
  • メディア企業: 広告掲載モデルまたはハイブリッド型

単独での収益化は容易ではないため、最初から収益化を狙うのではなく、本業への貢献を優先する方が成功しやすいです。

成功事例:ferretとみんチャレの数値から学ぶ

(1) ferret:半年で月間100万PV達成、現在500万PV超・月間リード獲得2,500件

ferretは、マーケティングツールを提供する株式会社ベーシックが運営するBtoB向けオウンドメディアです(参照: テクロ)。

ferretの成功数値:

  • 立ち上げ半年で月間100万PV達成
  • 現在、月間500万PV超
  • 月間リード獲得2,500件

成功のポイント:

  • 立ち上げ初期からKPI設定と測定を徹底
  • マーケティング実務担当者が求める実践的なコンテンツを提供
  • SEO最適化とSNS活用で継続的に流入を拡大

ferretの事例は、明確なKPI設定と質の高いコンテンツの継続的な蓄積が成功の鍵であることを示しています。

(2) みんチャレ:オウンドメディア経由ユーザーは課金率が約25%高い

みんチャレは、習慣化アプリを提供する企業のオウンドメディアです(参照: テクロ)。

みんチャレの成功数値:

  • オウンドメディア経由のユーザーは、他経路と比較して課金率が約25%高い

成功のポイント:

  • 流入経路別の質を分析し、高品質コンテンツに注力
  • オウンドメディアで習慣化の重要性を啓発し、アプリへの理解度を高めてから誘導
  • ユーザーの課題解決に寄り添うコンテンツ設計

みんチャレの事例は、流入経路別の質の分析が重要であることを示しています。単にPVを増やすのではなく、質の高いユーザーを集めることがLTV(顧客生涯価値)向上につながります。

(3) 成功の共通点:明確なKPI設定、質の高いコンテンツ、継続的な運用

ferretとみんチャレの成功事例から、以下の共通点が見えてきます:

1. 明確なKPI設定と測定:
立ち上げ初期から「PV」「リード数」「コンバージョン率」「課金率」などのKPIを設定し、継続的に測定・改善します。

2. 質の高いコンテンツ:
読者の課題解決に寄り添う実践的なコンテンツを提供し、SEO最適化も徹底します。

3. 継続的な運用:
短期で成果を求めず、1~2年以上の長期的な視点で継続的にコンテンツを蓄積します。

事業化のための運営体制とKPI設計

(1) 社内体制:編集者・ライター・デザイナーの役割分担

オウンドメディアを事業として成功させるには、適切な運営体制が必要です。

必要な役割:

  • 編集者: コンテンツ戦略の立案、編集方針の決定、品質管理
  • ライター: 記事執筆、取材、専門知識の提供
  • デザイナー: サイトデザイン、図解作成、ビジュアル最適化
  • SEO担当: キーワード選定、内部施策、外部施策
  • データアナリスト: アクセス解析、効果測定、改善提案

(2) アウトソーシングと内製のバランス

内製のメリット:
自社の専門知識を活かした独自性の高いコンテンツを作成でき、ノウハウが社内に蓄積されます。

アウトソーシングのメリット:
プロのライター・編集者のスキルを活用でき、社内リソース不足を補えます。

推奨する体制:
編集者とSEO担当は社内で確保し、ライターとデザイナーは内製とアウトソーシングを併用する形が現実的です。

リソース不足で更新が止まると効果が出ないため、社内体制またはアウトソーシング予算を確保することが重要です。

(3) KPI設計:PV・リード数・コンバージョン率・ROI

オウンドメディアを事業化するには、明確なKPI設計が不可欠です(参照: モルツ)。

主要KPI:

1. PV(ページビュー):
月間どれくらいの流入があるか。ferretは月間500万PV超を達成しています。

2. リード数:
問い合わせ・資料請求・会員登録の件数。ferretは月間2,500件を獲得しています。

3. コンバージョン率(CVR):
訪問者のうち何%がリードになるか。一般的には1~3%が目安です。

4. ROI(投資対効果):
投資した費用(制作費・運用費・人件費)に対してどれくらいの収益が得られたか。

計算例:
月間投資額100万円、月間リード獲得100件、リード単価1万円の場合、ROI = 100% となります。

5. 流入経路別の質:
みんチャレの事例のように、オウンドメディア経由のユーザーの質(課金率・LTV等)を分析します。

(4) 2025年のトレンド:AI時代のVEO(Visibility Engine Optimization)戦略

2025年は、従来のSEO(検索エンジン最適化)に加えて、**VEO(Visibility Engine Optimization:可視性エンジン最適化)**戦略が重要になると言われています(参照: note)。

VEOとは:
Googleなどの検索エンジンだけでなく、ChatGPTやGeminiなどのAIアルゴリズムにも最適化し、AIが回答を生成する際に自社コンテンツが引用されるようにする戦略です。

VEO戦略のポイント:

  • 正確で信頼性の高い情報を提供する
  • 構造化データを適切に設定する
  • E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を強化する
  • AIが理解しやすい明確な文章構造にする

VEO戦略は技術進化により変化する可能性があり、継続的な情報収集が推奨されます。

失敗の9割が陥る落とし穴と対策

(1) 失敗の現実:9割のオウンドメディアが失敗している

オウンドメディアは有効な施策である一方、9割が失敗しているという現実があります(参照: テクロ)。

失敗とは、以下のような状態を指します:

  • PVが伸びない(月間数千~数万PV程度で停滞)
  • リード獲得がほとんどない
  • 投資対効果が見えず、予算が削減される
  • 更新が止まり、放置状態になる

(2) 失敗の原因:明確な目的設定なし、短期で成果を求める、リソース不足で更新が止まる

失敗の主な原因:

① 明確な目的設定がない:
「とりあえずオウンドメディアを作る」という状態では、KPI設定も曖昧になり、成果が出ません。集客・ブランディング・売上向上・採用のうち、どれを優先するか明確にする必要があります。

② 短期で成果を求める:
オウンドメディアは、3ヶ月や半年で劇的な成果が出るものではありません。ferretのように半年で100万PV達成する事例もありますが、これは例外的なケースです。一般的には1~2年の継続運用が必要です。

③ リソース不足で更新が止まる:
編集者・ライター・デザイナーのリソースが不足し、更新が止まると、SEO評価も下がり、効果が出なくなります。

(3) 対策:長期的な覚悟、1~2年の継続運用、資産として育てる視点

失敗を避けるための対策:

1. 長期的な覚悟を持つ:
オウンドメディアは「長期的な資産」として育てる視点が重要です。短期で成果を求めず、1~2年以上の継続運用を前提に計画します。

2. 明確な目的とKPIを設定する:
「集客」「ブランディング」「売上向上」「採用」のうち、どれを優先するかを明確にし、それに応じたKPI(PV・リード数・コンバージョン率・ROI)を設定します。

3. 社内体制またはアウトソーシング予算を確保する:
編集者・ライター・デザイナーのリソースを確保し、継続的に更新できる体制を整えます。

4. 質の高いコンテンツを蓄積する:
読者の課題解決に寄り添う実践的なコンテンツを提供し、SEO最適化も徹底します。みんチャレの事例のように、流入経路別の質を分析し、高品質コンテンツに注力します。

(4) 注意点:単体での事業化にはPV・会員数・リード数の規模が必要

オウンドメディアを単体で事業化(独立採算)するには、月間数十万PV以上の規模が必要です。

最初から収益化を狙うのではなく、本業への貢献を優先する方が成功しやすいです。リード獲得や商品販売で本業に貢献し、その後に広告収益やイベント連携で複合的に収益化する段階的なアプローチが推奨されます。

まとめ:集客成功の要点

集客成功には戦略的なアプローチが不可欠です。ターゲット明確化、多様なチャネル活用、コンテンツマーケティング、データドリブンな改善が成功の鍵です。施策を組み合わせ、PDCAサイクルを回して継続的に改善しましょう。

※この記事は2024年12月時点の情報です。

よくある質問

Q1オウンドメディアで収益化できるのか?

A1可能ですが、9割が失敗しているのが現実です。成功には明確なKPI設定、質の高いコンテンツ、継続的な運用が必須です。ferretは半年で月間100万PV達成し、現在500万PV超・月間リード獲得2,500件を実現している成功例もあります。長期的な資産として育てる覚悟が重要です。

Q2どのような収益化モデルがあるか?

A23つのマネタイズモデルがあります。①事業貢献モデル(リード獲得・商品販売・採用強化)、②広告掲載モデル(アフィリエイト・SSP・ネイティブ広告)、③ハイブリッド型(事業貢献と広告収益の複合)。自社のビジネスモデルに合わせて選定することが重要です。BtoB企業はリード獲得型が最適です。

Q3どれくらいの期間で成果が出るのか?

A3ferretは半年で100万PV達成という成功例もありますが、一般的には1~2年の継続運用が必要です。短期で成果を求めると失敗リスクが高くなります。オウンドメディアは長期的な資産として育てる覚悟が重要で、継続的にコンテンツを蓄積することで着実に成果を積み上げられます。

Q4失敗しないためのポイントは?

A4明確な目的設定(集客・ブランディング・売上向上・採用)、長期的な覚悟と継続的な運用、社内体制またはアウトソーシング予算の確保、質の高いコンテンツの蓄積、流入経路別の質の分析が重要です。最初から収益化を狙うのではなく、本業への貢献を優先する方が成功しやすいです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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