オウンドメディアの意味とは?目的と他メディアとの違いを解説

著者: Decisense編集部公開日: 2025/12/3

「オウンドメディア」という言葉をよく聞くけれど、具体的に何を指すの?

B2B企業のマーケティング担当者として、上司や社内会議で「オウンドメディアを始めよう」「オウンドメディア戦略を強化しよう」といった話を聞く機会が増えているのではないでしょうか。

しかし、「オウンドメディアとは何か?」「ホームページやコーポレートサイトとどう違うのか?」「なぜ今、オウンドメディアが必要なのか?」といった疑問を抱えている方も多いと思います。

この記事では、オウンドメディアの定義・目的(ブランディング、リード獲得、SEO等)と、ペイドメディア・アーンドメディアとの違い、トリプルメディア戦略における位置づけを初心者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • オウンドメディアは「企業が自社で保有するメディア」の総称で、現代では「ブログ形式の情報サイト」を指すことが多い
  • オウンドメディアの主な目的は、リードジェネレーション(見込み客創出)、ブランディング、SEO効果、採用強化
  • トリプルメディア(オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディア)を組み合わせることで相乗効果が生まれる
  • 最大のメリットは「本当に好きになってくれる人」を集められること。デメリットは効果が出るまで時間がかかること
  • BtoB企業の40%がすでに保有し、90%がリード獲得を主目的として運営

オウンドメディアとは何か

(1) オウンドメディアの定義(自社保有メディアの総称)

オウンドメディア(Owned Media)とは、「企業が自社で保有・運営するメディア」の総称です(ミエルカ調査)。

「Owned」は「所有される」という意味で、「自社メディア」とも呼ばれます。広義には、Webサイトやブログに加え、メルマガや会報誌などの紙媒体も含まれます。

オウンドメディアに含まれるもの(広義):

  • 企業Webサイト・コーポレートサイト
  • ブログ・オウンドメディアサイト
  • メールマガジン
  • 会報誌・ニュースレター(紙媒体)
  • SNS公式アカウント(一部の定義では含む)

(2) 現代ビジネスにおける「オウンドメディア」の意味

広義では上記のように幅広い媒体を含みますが、現代のビジネスシーンでは「オウンドメディア=ブログ形式の情報サイト」という意味で用いられるケースが多いです(SATORI調査)。

これは、ペイドメディア(有料広告)、アーンドメディア(SNS等)と合わせ、企業マーケティングの核となる3つのメディア(トリプルメディア)として「オウンドメディア」が注目されるようになったためです。

現代における「オウンドメディア」の典型:

  • ブログ形式で定期的に記事を公開
  • SEO対策を施し、検索流入を獲得
  • 読者の課題解決やブランディングを目的とする
  • リードジェネレーション(問い合わせ・資料請求)につなげる

この記事でも、主に「ブログ形式の情報サイト」としてのオウンドメディアを中心に解説します。

(3) オウンドメディアの種類(ブログ、コーポレートサイト、メルマガ等)

オウンドメディアには、目的や形式に応じてさまざまな種類があります。

主な種類:

1. ブログ型オウンドメディア

  • 定期的に記事を更新し、SEO流入やブランディングを目指す
  • 例: ferret(Webマーケティング情報)、LIG Blog(Web制作情報)

2. コーポレートサイト型

  • 企業情報や製品情報を発信する公式サイト
  • 例: 企業の公式Webサイト

3. 採用オウンドメディア

  • 企業文化や価値観を発信し、優秀な人材を獲得する
  • 例: サイボウズ式(働き方・チームワークに関する情報発信)

4. メールマガジン

  • 既存顧客や見込み客に定期的に情報を配信
  • 例: 週次・月次のニュースレター

これらを組み合わせて運営することで、より効果的なマーケティング活動が可能になります。

オウンドメディアの目的と効果

(1) リードジェネレーション(見込み客の創出)

オウンドメディアの最も一般的な目的は、**リードジェネレーション(見込み客の創出)**です。

BtoB企業の90%がリード獲得と資料請求を主目的としてオウンドメディアを運営しています(マーケティング戦略部調査、2025年)。

リードジェネレーションの仕組み:

  1. SEO記事で検索流入を獲得
  2. 記事内で自社製品・サービスの価値を伝える
  3. 問い合わせフォームや資料請求ボタンでリード化
  4. リードナーチャリング(育成)を経て商談化

成功事例として、ferretは立ち上げから6ヶ月で月間100万PVを達成し、現在は月間500万PV超、月間250件以上のリード獲得を実現しています(Web幹事調査、2025年)。

(2) ブランディング(認知度・好感度の向上)

オウンドメディアは、企業や製品の認知度・好感度を高め、独自の価値やイメージを確立するブランディングにも有効です。

ブランディング効果:

  • 専門性や信頼性をアピールし、業界内でのポジションを確立
  • 読者の課題を解決する有益なコンテンツで好感度を向上
  • 企業文化や価値観を発信し、共感を得る

例えば、サイボウズ式は働き方やチームワークに関する情報発信を通じて、「働きやすい会社」としてのブランドイメージを確立しています。

(3) SEO効果と検索流入の安定化

オウンドメディアは、SEO(検索エンジン最適化)を通じて長期的に安定した検索流入を生み出すことができます(バズ部調査)。

SEO効果のメリット:

  • 質の高いSEOコンテンツは長期的に安定した検索流入を生み出す
  • 有料広告への依存を減らし、マーケティングコストを削減
  • 検索上位表示により、信頼性・権威性が向上

ただし、効果が出るまで時間がかかる(通常6ヶ月〜1年以上)ため、短期的な成果を期待すべきではないことに注意が必要です。

(4) 採用強化(企業文化・価値観の発信)

近年、採用オウンドメディアが増加しており、企業文化や価値観の発信を通じて優秀な人材を獲得する動きが活発です(ブルーモンキー調査)。

採用オウンドメディアの効果:

  • 企業の「らしさ」や働き方を発信し、共感する人材を集める
  • 社員インタビューやプロジェクト事例で職場の雰囲気を伝える
  • 入社後のミスマッチを減らし、定着率を向上

例えば、サイボウズ式は採用ブランディングにも大きく貢献しています。

オウンドメディアとペイド・アーンドメディアの違い

(1) トリプルメディアとは

オウンドメディアは、**ペイドメディア(Paid Media)、アーンドメディア(Earned Media)と合わせて「トリプルメディア」**と呼ばれる企業マーケティングの核となる3つのメディアです(SATORI調査)。

トリプルメディアの構成:

  1. オウンドメディア(Owned Media): 自社保有メディア(ブログ、Webサイト等)
  2. ペイドメディア(Paid Media): 有料広告(リスティング広告、SNS広告等)
  3. アーンドメディア(Earned Media): 獲得メディア(SNS、口コミ、プレスリリース等)

(2) ペイドメディア(有料広告)との違い

ペイドメディアとオウンドメディアの主な違いは、コスト構造と持続性です。

ペイドメディア(有料広告):

  • 即効性: 広告出稿後すぐに流入が発生
  • コスト: 継続的に広告費が必要(停止すると流入も停止)
  • ターゲティング: 詳細なターゲティングが可能

オウンドメディア:

  • 長期性: 一度作成したコンテンツは長期的に流入を生み出す
  • コスト: 初期制作費・運用コストが必要だが、広告費は不要
  • ブランド資産: コンテンツは企業の資産として蓄積

質の高いSEOコンテンツは長期的に安定した検索流入を生み出し、有料広告への依存を減らせるというメリットがあります(バズ部調査)。

(3) アーンドメディア(SNS等)との違い

アーンドメディアとオウンドメディアの違いは、コントロール性とコンテンツの所有権です。

アーンドメディア(SNS・口コミ等):

  • 拡散性: ユーザーの共感により拡散され、認知度が向上
  • コントロール性: ユーザーの反応次第で、企業がコントロールできない
  • 所有権: SNSプラットフォームの規約に依存(アカウント停止リスク)

オウンドメディア:

  • コントロール性: 自社でコンテンツとデザインを完全にコントロール
  • 所有権: コンテンツは企業の資産として完全に所有
  • 自由度: プラットフォームの規約に縛られず、自由に運営

オウンドメディアは、自社保有のためコンテンツとデザインの自由度が高く、ブランディング強化に利用可能です(ブルーモンキー調査)。

(4) トリプルメディア戦略の相乗効果

トリプルメディアを組み合わせることで、相乗効果が生まれます。

トリプルメディア戦略の例:

  1. オウンドメディアでSEO記事を公開し、検索流入を獲得
  2. ペイドメディア(リスティング広告)でオウンドメディア記事への誘導
  3. アーンドメディア(SNS)で記事を拡散し、認知度を向上
  4. オウンドメディアでリード化し、リードナーチャリング

このように、3つのメディアを組み合わせることで、より効果的なマーケティング活動が可能になります。

オウンドメディアのメリット・デメリット

(1) メリット:本当に好きになってくれる人を集められる

オウンドメディアの最大のメリットは、「本当に自社や製品を好きになってくれる人」を集められることです(バズ部調査、12年運営の実感)。

これは有料広告にはない最大のメリットです。広告経由のユーザーは一時的な接点にとどまることが多いですが、オウンドメディアでは読者の課題を継続的に解決することで、信頼関係を構築できます。

メリットの詳細:

  • 考察段階の異なる全てのユーザーにアプローチできる(ブルーモンキー調査)
  • 検討初期段階のユーザーから、比較検討中のユーザーまで、幅広く接点を持てる
  • 継続的に有益なコンテンツを提供することで、ファン化・リピーター化

(2) メリット:長期的な集客基盤とブランド資産の構築

オウンドメディアは、長期的な集客基盤とブランド構築を支える重要な資産になります(イノーバ調査)。

長期的なメリット:

  • 一度作成したコンテンツは長期的に流入を生み出す(資産化)
  • SEO順位が安定すれば、継続的に検索流入が見込める
  • ブランド認知度が向上し、指名検索(社名・製品名で検索)が増加

ferretの成功事例では、立ち上げから6ヶ月で月間100万PV、現在は月間500万PV超という規模に成長しています(Web幹事調査、2025年)。

(3) デメリット:効果が出るまで時間がかかる

オウンドメディアの最大のデメリットは、効果が出るまで時間がかかることです(バズ部調査)。

時間がかかる理由:

  • SEO順位の上昇には通常3〜6ヶ月以上かかる
  • コンテンツが蓄積されるまでドメインパワーが弱い
  • 適切なノウハウがないと効果を得ることが難しい

通常6ヶ月〜1年以上の時間が必要であり、ferretの成功事例(6ヶ月で月間100万PV)は例外的に早い成果です。企業規模・投資額・ノウハウにより大きく異なります。

(4) デメリット:運用コストと炎上リスク

オウンドメディアの運営には、運用コスト(人件費・制作費)が継続的に発生します(バズ部調査)。

運用コストの内訳:

  • 記事制作費(ライター外注、編集作業)
  • 社内担当者の人件費(編集長、ディレクター)
  • サーバー・CMS費用
  • SEOツール・分析ツール費用

また、炎上リスクも存在します。オンライン上での批判が加速する可能性があるため、公平性・正確性を重視したコンテンツ作成が重要です。

BtoB企業の40%がすでにオウンドメディアを保有しており、競争が激化している中で差別化が重要になっています(マーケティング戦略部調査、2025年)。

オウンドメディア成功事例と2025年の最新動向

(1) BtoB成功事例(ferret、サイボウズ式等)

BtoB企業のオウンドメディア成功事例をご紹介します。

ferret(Webマーケティング情報):

  • 立ち上げから6ヶ月で月間100万PVを達成
  • 現在は月間500万PV超、月間250件以上のリード獲得
  • Webマーケティングの実践的なノウハウを発信

サイボウズ式(働き方・チームワーク情報):

  • 企業文化や価値観を発信し、ブランディングに成功
  • 採用オウンドメディアとしても機能
  • 「働きやすい会社」としてのイメージを確立

LISKUL(Webマーケティング・営業ノウハウ):

  • リード獲得を主目的として運営
  • 月間100万PV以上、多数のリードを創出

これらの事例は、明確な目的設定と質の高いコンテンツ制作により、長期的な成果を上げています。

(2) BtoC成功事例(北欧、暮らしの道具店等)

BtoC企業のオウンドメディア成功事例もご紹介します。

北欧、暮らしの道具店:

  • ライフスタイル提案型のオウンドメディア
  • 多数のファンを獲得し、ECサイトへの流入を創出
  • ブランディングに成功

その他のBtoC成功事例:

  • スターバックス: コーヒー文化や社会貢献活動を発信
  • 花王: 生活に役立つ情報を提供し、ブランドロイヤルティを向上

BtoC企業でもオウンドメディアは有効であり、ブランディングやファン獲得に活用されています(HubSpot調査)。

(3) 2025年のトレンド(VEO戦略、AI時代への対応)

2025年のオウンドメディアの最新トレンドとして、VEO(Visibility Engine Optimization)戦略が注目されています(アカツキメディアスタジオ調査)。

VEO戦略とは:

  • 可視性エンジン最適化。AI検索やボイス検索など多様な情報検索手段に対応
  • コンテンツの可視性を高める戦略
  • ChatGPT等のAIチャットでの表示を意識したコンテンツ設計

2025年のその他のトレンド:

  • 採用オウンドメディアの増加(企業文化・価値観の発信)
  • 製造業でもオウンドメディアの成功事例が増加(技術力・専門性のアピール)
  • CMSの選定では、WordPressに加えてnoteやはてなブログProなど、導入しやすいプラットフォームも選択肢に

マーケターはAI時代に対応した戦略転換が必要になっています。

※オウンドメディアの成功事例のPV数やリード獲得数は、企業規模・業種・投資額により結果が異なります。(この記事は2024年11月時点の情報です)

まとめ:自社に合ったオウンドメディア運営の始め方

オウンドメディアは、企業が自社で保有・運営するメディアの総称であり、現代では「ブログ形式の情報サイト」を指すことが多いです。リードジェネレーション、ブランディング、SEO効果、採用強化など、さまざまな目的で活用されています。

この記事のポイントを振り返ると:

  • オウンドメディアの主な目的は、リードジェネレーション、ブランディング、SEO効果、採用強化
  • トリプルメディア(オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディア)を組み合わせることで相乗効果が生まれる
  • 最大のメリットは「本当に好きになってくれる人」を集められること。デメリットは効果が出るまで時間がかかること
  • BtoB企業の40%がすでに保有し、90%がリード獲得を主目的として運営
  • 2025年はVEO戦略やAI時代への対応が注目されている

次のアクション:

  • 自社のマーケティング課題を整理し、オウンドメディアの目的を明確にする
  • 予算と運用体制を検討する(人件費・制作費・ツール費用)
  • 成功事例(ferret、サイボウズ式等)を参考に、自社に合ったコンテンツ設計を考える
  • CMS(WordPress、note等)の選定と初期設計を行う
  • 短期的な成果を期待せず、6ヶ月〜1年以上の長期視点で運営する

自社に合ったオウンドメディア戦略で、長期的な集客基盤とブランド資産を構築しましょう。

よくある質問

Q1オウンドメディアとホームページ・コーポレートサイトの違いは?

A1広義ではコーポレートサイトもオウンドメディアに含まれますが、現代では「ブログ形式の情報サイト」を指すことが多いです。コーポレートサイトは企業情報や製品情報が中心ですが、オウンドメディアは読者の課題解決やブランディングを目的として、継続的に有益なコンテンツを発信します。

Q2オウンドメディアの効果が出るまでどのくらいかかる?

A2通常6ヶ月〜1年以上かかります。ferretの成功事例では立ち上げから6ヶ月で月間100万PVを達成しましたが、これは例外的に早い成果です。SEO順位の上昇には通常3〜6ヶ月以上かかり、企業規模・投資額・ノウハウにより大きく異なります。短期的な成果を期待せず、長期視点で運営することが重要です。

Q3小規模企業でもオウンドメディアは必要?

A3BtoB企業の40%がすでにオウンドメディアを保有し、90%がリード獲得を主目的としています。ただし、運用コスト(人件費・制作費)が継続的に発生するため、費用対効果を事前に検証することが重要です。小規模企業の場合は、noteやはてなブログProなど導入しやすいプラットフォームから始めるのも選択肢です。

Q4トリプルメディアとは何ですか?

A4トリプルメディアとは、オウンドメディア(Owned Media:自社保有メディア)、ペイドメディア(Paid Media:有料広告)、アーンドメディア(Earned Media:SNS等の獲得メディア)の3つを組み合わせたマーケティング戦略です。3つのメディアを組み合わせることで相乗効果が生まれ、より効果的なマーケティング活動が可能になります。

Q52025年のオウンドメディアのトレンドは?

A52025年はVEO(Visibility Engine Optimization)戦略が注目されています。これはAI検索やボイス検索など多様な情報検索手段に対応し、コンテンツの可視性を高める戦略です。ChatGPT等のAIチャットでの表示を意識したコンテンツ設計が求められており、マーケターはAI時代に対応した戦略転換が必要になっています。

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Decisense編集部

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