インバウンド営業とアウトバウンド営業の違い|特徴・手法・使い分けを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/7

営業戦略を立てるとき、インバウンドとアウトバウンドどちらを優先すべき?

B2B企業の営業戦略を立案する際、「インバウンド営業とアウトバウンド営業、どちらに注力すべきか」という疑問を抱える担当者は少なくありません。「効率的な営業手法を選びたい」「自社に最適なアプローチを知りたい」「両者を組み合わせる方法を理解したい」といったニーズがあります。

この記事では、インバウンド営業とアウトバウンド営業の特徴・手法・メリット/デメリットを体系的に整理し、企業規模・業種・商材別の使い分けのポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • インバウンド営業は顧客起点(プル型)、アウトバウンド営業は企業起点(プッシュ型)という違いがある
  • インバウンド営業は成約率が高いが、結果が出るまで時間がかかる
  • アウトバウンド営業は即効性があるが、担当者の負担が大きい
  • 両者は対立概念ではなく、組み合わせて活用するのが現代の主流
  • 企業規模・業種・商材によって最適な組み合わせは異なる

インバウンド営業とアウトバウンド営業とは?基本的な違い

(1) プル型(顧客起点)vs プッシュ型(企業起点)

インバウンド営業とアウトバウンド営業は、顧客との接点の作り方が根本的に異なります。

インバウンド営業(プル型):

  • 顧客からのお問い合わせ・資料請求をキッカケとして行う営業活動
  • 顧客が自ら情報を求めて企業に接触する
  • コンテンツマーケティング、SEO、ウェビナーなどで顧客を引き寄せる
  • 顧客は既に課題を認識しており、解決策を探している状態

アウトバウンド営業(プッシュ型):

  • 企業側から顧客へアプローチするスタイルの営業活動
  • テレアポ、飛び込み営業、メール営業などが代表的
  • 企業が能動的にターゲット顧客に働きかける
  • 顧客はまだ課題を認識していない、または優先度が低い場合がある

(2) 顧客の購買意欲・商談への成熟度の違い

両者の大きな違いは、接触時点での顧客の購買意欲・成熟度にあります。

インバウンド営業の場合:

  • 顧客は自ら課題を認識し、解決策を探している
  • 比較検討段階に入っている場合が多い
  • 商談に対する準備ができている
  • 成約までの期間が比較的短い傾向

アウトバウンド営業の場合:

  • 顧客は課題を認識していない、または潜在的な状態
  • 情報収集・啓発から始める必要がある場合が多い
  • 商談に進むまでにナーチャリングが必要
  • 接点から成約までの期間が長くなる傾向

インバウンド営業の特徴・手法・メリット/デメリット

(1) 主な手法(オウンドメディア・SNS・ウェビナー・メルマガ等)

インバウンド営業では、顧客にとって価値のあるコンテンツを発信し、顧客からの接触を促します。

主なインバウンド営業の手法:

  • オウンドメディア・ブログ: SEO対策を施した記事で検索流入を獲得
  • SNS運用: LinkedInやTwitterでの情報発信・フォロワー獲得
  • ウェビナー・オンラインセミナー: 専門知識の提供で見込み客を獲得
  • メルマガ・ニュースレター: 継続的な情報提供で関係を構築
  • ホワイトペーパー・資料ダウンロード: 専門的な資料でリードを獲得
  • プレスリリース: メディア露出による認知拡大

インバウンド営業のコツ:

  • 「購買に近いテーマ」(成功事例、費用対効果など)からコンテンツ化を始める
  • ペルソナ(理想的な顧客像)を設定し、その層に響くコンテンツを発信する
  • 量より質を重視した情報発信を行う

(2) メリット(高成約率・効率的・長期的関係構築)

インバウンド営業には以下のメリットがあります。

高い成約率:

  • 顧客が自ら問い合わせるため購買意欲が高い
  • 課題認識ができている状態で商談に入れる
  • 競合比較をしていても、自社を選んで接触している

効率的なリード獲得:

  • 一度作成したコンテンツが継続的にリードを生み出す
  • 広告費を抑えながら集客が可能
  • 営業担当者の行動量に依存しない

長期的な関係構築:

  • 有益な情報提供を通じて信頼関係を構築
  • 購入前から顧客との接点を持てる
  • ブランド認知・業界でのポジション確立に貢献

(3) デメリット(結果が出るまで時間がかかる・コンテンツの質が重要)

インバウンド営業には以下の注意点もあります。

結果が出るまで時間がかかる:

  • SEOで上位表示されるまでに数ヶ月~1年以上かかる場合がある
  • コンテンツが蓄積されるまでリード獲得数が安定しない
  • 短期的な売上目標との両立が難しい

コンテンツの質が重要:

  • ユーザーニーズに響かないコンテンツでは効果が出ない
  • 継続的なコンテンツ制作・更新が必要
  • 専門知識・制作スキルが求められる

競合との差別化が必要:

  • 同様のコンテンツを発信する競合が増加
  • 検索上位を獲得するための競争が激化
  • 独自性・専門性が求められる

アウトバウンド営業の特徴・手法・メリット/デメリット

(1) 主な手法(テレアポ・飛び込み営業・メール営業・DM)

アウトバウンド営業では、企業側から積極的にターゲット顧客にアプローチします。

主なアウトバウンド営業の手法:

  • テレアポ(テレフォンアポインター): 電話でアポイントを獲得。1日100件以上の架電も可能
  • 飛び込み営業: ターゲット顧客のもとに直接訪問して営業
  • メール営業: リストを基に一斉にメールを配信
  • DM(ダイレクトメール): 郵送で資料・案内を送付
  • LinkedIn等でのダイレクトメッセージ: SNSを活用した個別アプローチ

アウトバウンド営業のコツ:

  • ターゲットリストの精度を高める(業界・企業規模・役職など)
  • トークスクリプトを準備し、短時間で要点を伝える
  • 断られても諦めず、継続的にアプローチする

(2) メリット(即効性・ターゲット層への積極的アプローチ)

アウトバウンド営業には以下のメリットがあります。

即効性がある:

  • すぐにターゲット顧客にアプローチできる
  • 短期間で多くの見込み顧客に接触可能
  • 営業活動を開始してから成果が出るまでが早い

ターゲット層への積極的アプローチ:

  • 狙った企業・担当者に直接アプローチできる
  • 新規市場・新規顧客へのアプローチに有効
  • 自社を認知していない潜在顧客にもリーチできる

行動量のコントロールが可能:

  • 架電数・訪問数を計画的に管理できる
  • 成果が出ない場合の原因分析がしやすい
  • PDCAを回しやすい

(3) デメリット(担当者の負担が大きい・成功率が低い)

アウトバウンド営業には以下の注意点もあります。

担当者の負担が大きい:

  • 何百件と電話をかけても実際にアポが取れるのは数件程度
  • 精神的・肉体的な負担が大きい
  • 離職率が高くなりやすい

成功率が低い:

  • 顧客の購買意欲が低い状態でのアプローチが多い
  • 断られる回数が多く、成約までの道のりが長い
  • 「営業電話=迷惑」というイメージを持たれやすい

人件費・コストがかかる:

  • 営業担当者の人件費が主なコスト
  • 行動量を増やすには人員増加が必要
  • コスト効率が低くなりやすい

インバウンド営業とアウトバウンド営業の比較表

(1) リード獲得方法・成約率・コスト・営業サイクルの比較

両者の特徴を比較表で整理します。

項目 インバウンド営業 アウトバウンド営業
リード獲得方法 顧客からの問い合わせ・資料請求 企業からの電話・訪問・メール
成約率 高い傾向(購買意欲が高い) 低い傾向(潜在顧客が多い)
コスト構造 コンテンツ制作・広告費 人件費・行動量
初期投資 大きい(コンテンツ蓄積が必要) 小さい(すぐに開始可能)
結果が出るまでの期間 長い(数ヶ月~1年以上) 短い(即効性あり)
営業担当者の負担 低い 高い
スケーラビリティ 高い(コンテンツが資産化) 低い(人員増加が必要)

(2) 向いている企業・商材・シーン

それぞれの営業手法が有効なケースを整理します。

インバウンド営業が向いているケース:

  • 検討期間が長い高単価商材
  • 顧客が自ら情報収集する習慣がある業界
  • コンテンツ制作のリソースがある企業
  • 長期的なブランディングを重視する企業

アウトバウンド営業が向いているケース:

  • 新規市場・新規顧客へのアプローチが必要な場合
  • 短期的な成果が求められる場合
  • ターゲット企業が明確に絞られている場合
  • 顧客が自ら情報収集する習慣が少ない業界

企業規模・業種・商材別の使い分けとハイブリッド戦略

(1) インバウンドが有効なケース

以下のようなケースでは、インバウンド営業が特に有効です。

商材の特徴:

  • 単価が高く、検討期間が長い(SaaS、コンサルティング等)
  • 導入に専門知識が必要で、顧客が情報収集する
  • 競合が多く、差別化が重要

企業の状況:

  • マーケティング部門・コンテンツ制作リソースがある
  • 長期的な視点で投資できる
  • ブランド認知・業界でのポジション確立を目指している

(2) アウトバウンドが有効なケース

以下のようなケースでは、アウトバウンド営業が特に有効です。

商材の特徴:

  • ターゲット企業が限定されている(大企業向け、特定業界向け等)
  • 顧客が課題を認識していない・潜在的なニーズ
  • 新しい市場・商材で認知度が低い

企業の状況:

  • 短期的な売上目標の達成が必要
  • 営業人員が充実している
  • ターゲットリストが明確

(3) 両者を組み合わせたハイブリッド戦略の実践法

現代のB2B営業では、インバウンドとアウトバウンドを組み合わせる「ハイブリッド戦略」が主流になっています。

ハイブリッド戦略の実践例:

パターン1: インバウンドリードへのアウトバウンドフォロー

  • インバウンドで獲得したリードのうち、まだ商談に至っていない見込み客に対してアウトバウンド営業を行う
  • 資料ダウンロードした顧客への電話フォロー
  • ウェビナー参加者への個別アプローチ

パターン2: アウトバウンド接点からのインバウンド誘導

  • アウトバウンドで接点を持った顧客にコンテンツを送付
  • メルマガ登録への誘導
  • 次回のウェビナーへの招待

パターン3: SDR/BDR体制の構築

  • SDR(Sales Development Representative): インバウンドリードの対応
  • BDR(Business Development Representative): アウトバウンドでの新規開拓
  • 両者を連携させて効率的にリードを商談化

ハイブリッド戦略のポイント:

  • インバウンドとアウトバウンドの担当者を明確に分ける
  • 両者の成果指標(KPI)を別々に設定する
  • 情報共有の仕組みを整備する(CRM/SFAの活用)

まとめ:両者を組み合わせて営業効率を最大化するために

インバウンド営業とアウトバウンド営業は対立概念ではなく、それぞれの特性を理解した上で組み合わせて活用することで、営業効率を最大化できます。

成功のためのポイント:

  • 自社の商材・ターゲット・リソースに応じて最適なバランスを検討する
  • インバウンドは長期的な投資、アウトバウンドは短期的な成果として使い分ける
  • 両者を連携させる仕組み(SDR/BDR体制、CRM活用等)を整備する
  • 成果指標を設定し、定期的に効果を検証・改善する
  • どちらか一方に偏らず、相互補完的に活用する

次のアクション:

  • 現在の営業活動におけるインバウンド/アウトバウンドの比率を確認する
  • 自社の商材・ターゲットに適した営業手法の組み合わせを検討する
  • インバウンドリードへのアウトバウンドフォローの仕組みを整備する
  • CRM/SFAを活用して両者の成果を可視化する

※この記事は2024年時点の情報です。営業手法のトレンドや成功事例は業界・商材によって異なるため、自社の状況に応じたカスタマイズを行ってください。

よくある質問

Q1インバウンド営業とアウトバウンド営業どちらを優先すべきですか?

A1商材・業界・ターゲット層によって異なります。検討期間が長い高単価商材はインバウンド、新規市場開拓や即効性が必要な場合はアウトバウンドが有効です。多くの企業は両者を組み合わせて営業効率を最大化しています。

Q2インバウンド営業とアウトバウンド営業のコスト比較は?

A2インバウンドはコンテンツ制作・広告費が主なコスト、アウトバウンドは人件費・行動量がコストになります。インバウンドは初期投資が大きいですが、コンテンツが資産化するため長期的にはコスト効率が良い傾向があります。

Q3成約率はどちらが高いですか?

A3一般的にインバウンド営業の方が高い傾向があります。顧客が自ら問い合わせるため購買意欲が高い状態で商談に入れるためです。アウトバウンドは接点数が多いですが、潜在顧客へのアプローチが多く成約率は低くなる傾向があります。

Q4インバウンド営業とアウトバウンド営業それぞれに適した組織体制は?

A4インバウンドはマーケティング部門との連携が重要です。アウトバウンドはインサイドセールス・フィールドセールスの分業が効果的です。両者を連携させるSDR(インバウンドリード対応)/BDR(アウトバウンド新規開拓)体制も有効です。

Q5両者を組み合わせるにはどうすればよいですか?

A5インバウンドで獲得したリードのうち商談に至っていない見込み客にアウトバウンドを行う、アウトバウンドで接点を持った顧客にコンテンツを送付するなど、相互補完的に活用します。CRM/SFAを活用して情報共有の仕組みを整備することが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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