失敗しないCRMの選び方:5つのステップと選定基準チェックリスト

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/8

CRMを導入したいけど、選び方が分からない...

「CRM導入を任されたけど、製品が多すぎて何を基準に選べばいいか分からない」「高機能なものを選べばいいのか、シンプルなものがいいのか判断できない」

こうした悩みを抱えるB2B企業の実務担当者は少なくありません。CRM導入の成否は、選定段階で大きく左右されると言われています。

この記事では、CRM選定の5ステップと選定基準チェックリストを提示し、導入失敗を回避するためのポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • CRM選定は5ステップ(課題整理→要件定義→候補選定→比較評価→導入判断)で進める
  • 選定基準は「機能」「操作性」「価格」「連携性」「セキュリティ・サポート」の5軸で評価
  • 「CRMを入れること」が目的になると失敗する。導入目的と評価指標を明確にする
  • 現場担当者を巻き込み、トライアルで実際に操作性を確認することが重要

CRM選びで失敗しないために:よくある落とし穴

(1) 「導入すること」が目的になってしまう

CRM導入で最も多い失敗パターンは、「CRMを入れること」自体が目的になってしまうケースです。

よくある失敗例:

  • 「競合が導入したから、うちも」という理由だけで選定
  • 導入後に何をもって成功とするか、評価指標が設定されていない
  • 「とりあえず高機能なものを」と多機能製品を選び、使いこなせない

回避策:

  • 導入前に「何を解決したいか」を明確にする(例:顧客情報の属人化解消、案件の進捗可視化)
  • 導入効果を測定するKPIを事前に設定する(例:営業案件数、対応スピード、受注率)
  • 必要な機能を絞り込み、「使い切れる」レベルを見極める

(2) ベンダー任せ・経営陣の独断による失敗

もうひとつの典型的な失敗パターンは、現場を無視した導入です:

ベンダー任せの失敗:

  • ベンダーの提案書をそのままコピペして稟議を通す
  • 設定・運用設計をすべてベンダーに丸投げ
  • 自社の業務フローに合わない仕様のまま導入

経営陣の独断による失敗:

  • 経営陣が「いいものだから」と現場に相談せず決定
  • 実際に使う営業担当者の意見を聞かない
  • 運用担当者との認識のズレが生じる

回避策:

  • 導入決定者と実際の利用者を同じテーブルで議論させる
  • 現場担当者にトライアルを試してもらい、フィードバックを得る
  • 自社で運用できるレベルの製品を選ぶ

CRM選定の5ステップ(課題整理→導入判断)

(1) ステップ1:現状の課題を整理する

まず、現状の顧客管理・営業管理における課題を整理します。

整理すべき項目:

  • 顧客情報はどこに保管されているか(Excel、個人のメモ、既存システム)
  • 情報の引き継ぎで問題が起きているか
  • 営業活動の可視化はできているか
  • 部門間の情報共有に課題はあるか

ポイント:

  • 現場の営業担当者、マーケティング担当者、カスタマーサポートなど、関係者からヒアリングする
  • 「あったらいいな」ではなく「ないと困る」機能を特定する

(2) ステップ2:導入目的と評価指標を定義する

課題を整理したら、導入目的と成功の評価指標を定義します。

導入目的の例:

  • 顧客情報を一元管理し、属人化を解消する
  • 営業案件の進捗を可視化し、予実管理を徹底する
  • マーケティングと営業の連携を強化し、リードの転換率を上げる

評価指標(KPI)の例:

  • 顧客情報の入力率(目標:90%以上)
  • 営業案件の登録数(目標:月間〇件)
  • リード→商談の転換率(目標:〇%)
  • 導入後6ヶ月での利用率

(3) ステップ3:候補ツールをリストアップする

目的と評価指標が定まったら、候補となるCRMツールをリストアップします。

リストアップの方法:

  • 業界メディアの比較記事を参考にする
  • 同業種・同規模企業の導入事例を調べる
  • ITツール比較サイト(BOXIL、ITreview等)でレビューを確認

絞り込みの目安:

  • 第一次候補:10〜15製品
  • 第二次候補(資料請求):5〜7製品
  • 最終候補(トライアル):2〜3製品

(4) ステップ4:トライアルで比較評価する

最終候補に絞り込んだら、必ずトライアル(無料お試し)で実際に操作性を確認します。

トライアルで確認すべき項目:

  • 必要な機能が揃っているか
  • 現場担当者が直感的に操作できるか
  • 入力項目の数は適切か(多すぎないか)
  • 既存システムとの連携は可能か
  • レポート・分析機能は使いやすいか

ポイント:

  • 管理側だけでなく、実際に使う現場担当者にも触ってもらう
  • 最低2週間〜1ヶ月は試用期間を確保する
  • ベンダーのデモだけで判断しない

(5) ステップ5:運用担当者と合意形成して導入判断

トライアルの結果を踏まえ、運用担当者と合意形成して最終判断します。

合意形成のポイント:

  • トライアル結果を関係者で共有し、意見を集約
  • 導入後の運用ルール(誰が、いつ、何を入力するか)を仮決め
  • 導入スケジュールとマイルストーンを設定
  • 想定コスト(初期費用、月額費用、教育コスト)を試算

導入判断の基準:

  • 導入目的を達成できる機能があるか
  • 現場が運用できる操作性か
  • 予算内に収まるか
  • サポート体制は十分か

選定基準チェックリスト(機能・価格・サポート)

(1) 機能:必要な機能があるか・多機能すぎないか

チェック項目:

  • 顧客情報の一元管理ができるか
  • 案件・商談の進捗管理ができるか
  • 活動履歴(訪問、電話、メール)の記録ができるか
  • レポート・分析機能があるか
  • 自社に不要な機能が多すぎないか

ポイント: 多機能な製品は魅力的ですが、使いこなせなかったり入力負担が大きくなるリスクがあります。初めての導入なら、「目的」に合った機能をカバーしていれば十分です。

(2) 操作性:現場担当者が直感的に使えるか

チェック項目:

  • 画面デザインは見やすいか
  • 操作手順は直感的か(マニュアルなしで基本操作ができるか)
  • 入力項目は最小限に絞れるか
  • モバイルアプリに対応しているか(外出先での利用)

ポイント: 「入力が速い」「項目が少ない」「管理コストが低い」ことがCRM定着の鍵と言われています。

(3) 価格:月額相場と初期費用の目安

費用相場(クラウド型):

  • 月額費用:1ユーザーあたり3,000円〜10,000円程度
  • 初期費用:無料〜10万円程度

低価格帯の例:

  • Zoho CRM:月額1,680円/ユーザー〜
  • kintone:月額1,000円/ユーザー〜
  • HubSpot CRM:無料プランあり

チェック項目:

  • 月額費用は予算内か
  • 初期費用・導入支援費用はいくらか
  • 追加ユーザー時の費用体系
  • 将来的にプランアップした場合の費用

※料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認してください。

(4) 連携性:既存システムとのAPI連携が可能か

チェック項目:

  • 自社が使用している既存システムとの連携は可能か
  • ECサイト、POSシステム、分析ツール等との連携
  • メールツール(Gmail、Outlook)との連携
  • 会計ソフト(freee、マネーフォワード等)との連携
  • API連携の範囲と追加費用

ポイント: 自社がすでに導入しているシステムをリスト化し、連携可能なCRMを選定することが推奨されます。

(5) セキュリティ・サポート体制

セキュリティのチェック項目:

  • データ暗号化(通信・保存)
  • アクセス権限管理(役職・部門別)
  • ISO27001、SOC2等のセキュリティ認証取得状況
  • データセンターの所在地(国内・海外)

サポート体制のチェック項目:

  • 日本語でのサポート対応
  • サポート方法(電話、メール、チャット)
  • オンボーディング(導入支援)の有無
  • ヘルプドキュメント、ユーザーコミュニティの充実度

企業規模・業種別のCRM選びのポイント

(1) 中小企業向け:シンプル・低コスト・拡張性重視

中小企業がCRMを選ぶ際のポイント:

重視すべき点:

  • シンプルで使いやすい操作性
  • 低コスト(月額数千円/ユーザーから)
  • スモールスタートでき、拡張性がある
  • 日本語サポートが充実

選択肢の例:

  • Zoho CRM(コスパ重視)
  • kintone(ノーコードでカスタマイズ可能)
  • HubSpot CRM(無料から始められる)

注意点:

  • 機能が多すぎると使いこなせない
  • まずは「顧客・案件・活動・レポート」の最小セットから始める

(2) 大企業向け:複数チャネル対応・セキュリティ・カスタマイズ性

大企業がCRMを選ぶ際のポイント:

重視すべき点:

  • 複数チャネル(電話、メール、Web、SNS)の一元管理
  • 高度なセキュリティ、ガバナンス機能
  • データベース上限が十分か
  • カスタマイズ性と拡張性(API連携のしやすさ)
  • グローバル対応(多言語、多通貨)

選択肢の例:

  • Salesforce Sales Cloud(圧倒的シェアと機能)
  • Microsoft Dynamics 365(Microsoft製品との連携)
  • Oracle CX Cloud(大規模エンタープライズ向け)

(3) 国産CRMと外国産CRMの違い

外国産CRM(Salesforce、HubSpot等):

  • オールラウンダーで多機能
  • グローバル展開に対応
  • 英語ベースのドキュメントが多い(日本語対応も進んでいる)

国産CRM(Sansan、eセールスマネージャー、kintone等):

  • SFAやMA要素が強い製品が多い
  • 日本企業の業務フローに合わせやすい
  • 日本語サポートが手厚い

選び方の目安:

  • グローバル展開予定がある → 外国産
  • 日本語サポート重視、国内完結 → 国産
  • 特定機能(名刺管理など)に強みがある製品 → 国産の専門ツール

導入失敗パターンと回避策

(1) 要件定義不足:現場の声を聞かずに決定

失敗パターン:

  • 経営陣や情シス部門だけで製品を選定
  • 実際に使う営業担当者の意見を聞かない
  • 現場の業務フローを把握せずに導入

回避策:

  • 導入前に現場担当者へのヒアリングを実施
  • 現場代表者を選定プロジェクトに参加させる
  • トライアル時に現場担当者に操作してもらう

(2) 運用ルール未整備:入力負担が大きく定着しない

失敗パターン:

  • 「何を入力すべきか」のルールが曖昧
  • 入力項目が多すぎて負担になる
  • 入力しなくても業務が回るため、データが蓄積されない

回避策:

  • 「誰が、いつ、何を入力するか」を明文化
  • 入力項目は必要最小限に絞る
  • 「CRMに入力しないと業務が回らない」仕組みを作る(例:レポート機能の活用)

(3) 効果測定なし:ROIを評価できず継続判断ができない

失敗パターン:

  • 導入前にKPIを設定していない
  • 導入後の効果測定を行わない
  • 「効果がよく分からない」という理由で解約・放置

回避策:

  • 導入前に評価指標を設定(入力率、案件数、受注率など)
  • 定期的に効果を測定し、改善点を特定
  • 6ヶ月〜1年のスパンで評価する(短期での判断は避ける)

まとめ:CRM選びの最終チェックポイント

CRM選びで失敗しないためには、「導入すること」を目的にせず、解決したい課題と評価指標を明確にすることが重要です。

最終チェックリスト:

✅ 導入目的は明確か?(何を解決したいか) ✅ 評価指標(KPI)は設定したか? ✅ 現場担当者を巻き込んでいるか? ✅ トライアルで操作性を確認したか? ✅ 既存システムとの連携は可能か? ✅ 予算内に収まるか? ✅ 運用ルールは検討済みか?

次のアクション:

  1. 現状の課題を関係者でリストアップする
  2. 導入目的と評価指標を定義する
  3. 候補ツール5〜7製品の資料請求をする
  4. 最終候補2〜3製品のトライアルを申し込む
  5. 現場担当者と一緒にトライアルを評価する

※この記事の情報は2024年時点のものです。料金・機能は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。

よくある質問:

Q: CRMの費用相場はどれくらい? A: クラウド型の場合、ユーザー1名あたり月額3,000円〜10,000円が相場です。Zoho CRM(月額1,680円〜)、kintone(月額1,000円〜)など低価格帯の製品もあります。初期費用は無料〜10万円程度が一般的です。

Q: CRMとSFAの違いは?両方導入が必要? A: CRMは顧客関係管理全般、SFAは営業プロセスの効率化に特化しています。多くのCRMはSFA機能を統合しており、別々に導入する必要はないケースがほとんどです。

Q: 国産CRMと外国産CRMどちらがいい? A: 外国産はオールラウンダーで多機能、国産はSFAやMA要素が強い傾向があります。日本語サポートを重視するなら国産、グローバル展開予定があるなら外国産が選択肢になります。

Q: トライアルで何を確認すべき? A: 「必要な機能があるか」「現場が使いこなせる操作性か」「既存システムと連携できるか」の3点です。管理側だけでなく、実際に使う現場担当者にも触ってもらうことが重要です。

よくある質問

Q1CRMの費用相場はどれくらい?

A1クラウド型の場合、ユーザー1名あたり月額3,000円〜10,000円が相場です。Zoho CRM(月額1,680円〜)、kintone(月額1,000円〜)など低価格帯の製品もあります。初期費用は無料〜10万円程度が一般的です。

Q2CRMとSFAの違いは?両方導入が必要?

A2CRMは顧客関係管理全般、SFAは営業プロセスの効率化に特化しています。多くのCRMはSFA機能を統合しており、別々に導入する必要はないケースがほとんどです。

Q3国産CRMと外国産CRMどちらがいい?

A3外国産はオールラウンダーで多機能、国産はSFAやMA要素が強い傾向があります。日本語サポートを重視するなら国産、グローバル展開予定があるなら外国産が選択肢になります。

Q4トライアルで何を確認すべき?

A4「必要な機能があるか」「現場が使いこなせる操作性か」「既存システムと連携できるか」の3点です。管理側だけでなく、実際に使う現場担当者にも触ってもらうことが重要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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