BtoB企業でSEOに取り組みたいけれど、BtoCとは何が違うのか分からない...
Web上で見込み顧客を獲得したいと考えているBtoB企業の多くが、SEO対策に関心を持っています。しかし、Web上で見かけるSEO情報の多くはBtoC向けで、「BtoB特有のノウハウが分からない」「検索ボリュームが少ないキーワードにどう対応すればいいのか」という悩みを抱える担当者は少なくありません。
BtoBとBtoCでは、購買プロセス、意思決定者の数、検索キーワードの特性が大きく異なります。この違いを理解せずにBtoC向けの手法をそのまま適用しても、成果にはつながりにくいのが現状です。
この記事では、BtoB企業向けにSEOの基本から実践的な進め方、成果を測定する方法まで解説します。
この記事のポイント:
- BtoBは検索ボリュームが少なく、月間10〜100程度のキーワードを狙うことも珍しくない
- 購買プロセスが長いため、各フェーズに応じた異なるキーワード戦略が必要
- SEOは内部施策・コンテンツSEO・外部施策の3つに分類される
- 成果が出るまで3〜6ヶ月以上かかることを想定し、中長期的に取り組む
- SEO単独ではなく、ナーチャリング施策(MA、メルマガ等)との組み合わせが効果的
BtoB SEOとは何か
(1) BtoB SEOの目的(見込み顧客のリード獲得)
BtoB SEOとは、法人向けビジネスにおいて、検索エンジンからの流入を増やし、見込み顧客(リード)を獲得するためのSEO施策です。
一般的なSEOの目標は「検索順位を上げる」「トラフィックを増やす」ことですが、BtoB SEOではそれだけでは不十分です。最終的な目標は、資料請求や問い合わせなどのコンバージョン(リード獲得)につなげることです。
そのため、単に検索ボリュームが大きいキーワードを狙うのではなく、「コンバージョンにつながるキーワード」を選定することが重要です。検索ボリュームが小さくても、購買意欲の高いユーザーが検索するキーワードに注力することで、効率的なリード獲得が可能になります。
(2) なぜBtoB企業にSEOが重要なのか
BtoB企業にとってSEOが重要な理由は以下の通りです:
購買プロセスの変化 調査によると、顧客はWebサイトで64.8%の情報収集を行い、営業担当者との接触前に57%の意思決定を完了しているといわれています。つまり、見込み顧客が自社を認知するのは「検索」が起点となるケースが増えています。
リード獲得効率 80%以上のBtoB企業が、SEOはオンライン広告(PPC)よりも質の高いリードを獲得できると回答しているという調査結果があります。広告は即効性がありますが、長期的にはSEOの方がコスト効率が高いとされています。
信頼構築 検索結果の上位に表示されることは、企業の信頼性や専門性を示すシグナルとなります。見込み顧客が情報収集する際、検索上位に自社コンテンツがあることで、「この分野の専門家」として認知されやすくなります。
BtoBとBtoCのSEOの違い
(1) 検索ボリュームの違い(BtoBは月間10-100程度も)
BtoBとBtoCでは、ターゲットとなるキーワードの検索ボリュームが大きく異なります。
BtoCの場合
- 「スマホ おすすめ」「化粧水 人気」など、月間検索ボリューム数万〜数十万のキーワードが多い
- 一般消費者向けのため、幅広いキーワードが存在
BtoBの場合
- 「MA ツール 比較」「クラウドERP 導入」など、月間検索ボリューム10〜1,000程度のキーワードが中心
- 業界特化型・専門的なキーワードが多い
- 月間10〜100程度のキーワードを狙うことも珍しくない
BtoBでは検索ボリュームが小さいため、1つのキーワードで大量のトラフィックを獲得することは難しいです。その代わり、ニッチなキーワードで上位表示を取れれば、購買意欲の高いユーザーに効率的にリーチできます。
(2) 検討期間と意思決定プロセスの違い
BtoCの場合
- 購買決定が比較的迅速(数分〜数日)
- 個人が意思決定者
- 感情的な要因が購買に影響しやすい
BtoBの場合
- 購買決定まで数ヶ月〜数年かかることも
- 複数の意思決定者が関与(担当者、上長、経営層、調達部門など)
- 論理的な情報(ROI、導入実績、比較検討)が重視される
この違いにより、BtoB SEOでは「検討フェーズごとに異なるコンテンツ」を用意することが重要になります。認知段階では課題解決型のコンテンツ、比較検討段階では製品比較や事例コンテンツ、最終決定段階では導入フローや料金情報など、各フェーズに応じた情報ニーズに応える必要があります。
(3) キーワード戦略の違い(業界特化型・専門的トピック)
BtoB SEOのキーワード戦略は、BtoCとは異なるアプローチが求められます:
業界特化型キーワード
- 業界用語や専門用語を含むキーワード(例:「SFA CRM 連携」「人事評価システム 360度評価」)
- 競合が少なく、上位表示を狙いやすい
購買フェーズ別キーワード
- 認知段階:「営業 効率化 方法」「人事評価 課題」
- 比較検討段階:「SFAツール 比較」「人事評価システム おすすめ」
- 決定段階:「〇〇ツール 料金」「〇〇 導入事例」
ロングテールキーワード
- 「中小企業 向け MA ツール 無料」など具体的なキーワード
- 検索ボリュームは小さいが、コンバージョン率が高い
BtoB SEOの具体的な進め方
(1) ターゲットペルソナの設定
BtoB SEOを始める際、最初に行うべきはターゲットペルソナの設定です。「誰に」情報を届けるのかを明確にすることで、キーワード選定やコンテンツ作成の方向性が定まります。
ペルソナ設定のポイント
- 業種・業界
- 企業規模(従業員数、売上規模)
- 部署・役職
- 抱えている課題
- 情報収集の方法
例:「従業員100〜300名のBtoB企業のマーケティング部門マネージャー、リード獲得に課題を感じており、MA導入を検討中」
ペルソナを設定することで、「このペルソナはどんなキーワードで検索するか」「どんな情報を求めているか」が具体化されます。
(2) 購買プロセス別の情報ニーズ明確化
BtoBでは購買プロセスが長いため、各フェーズで求められる情報が異なります。ペルソナが各フェーズでどんな情報を求めているかを整理します:
| フェーズ | 情報ニーズ | キーワード例 |
|---|---|---|
| 認知・課題発見 | 課題の解決方法を知りたい | 「リード獲得 方法」「営業 効率化」 |
| 情報収集 | 解決策の選択肢を知りたい | 「MAツール とは」「MA メリット」 |
| 比較検討 | 各選択肢の違いを知りたい | 「MA ツール 比較」「HubSpot vs Marketo」 |
| 最終決定 | 導入の具体的な情報を知りたい | 「MA 導入事例」「〇〇 料金」 |
各フェーズに対応したコンテンツを用意することで、見込み顧客の検討プロセス全体をカバーできます。
(3) キーワード選定(コンバージョンにつながるキーワード重視)
BtoB SEOのキーワード選定では、単に検索ボリュームを追うのではなく、「コンバージョンにつながるかどうか」を重視します:
キーワード選定の手順
- ペルソナと購買フェーズから想定されるキーワードを洗い出す
- キーワードツール(Googleキーワードプランナー等)で検索ボリュームを確認
- 検索意図を分析し、自社のコンバージョンにつながるか判断
- 競合サイトの状況を確認し、上位表示の難易度を評価
- 優先度をつけてコンテンツ制作計画を立てる
注意点
- 検索ボリュームが大きくても、コンバージョンにつながらないキーワードは優先度を下げる
- BtoBでは月間10〜100程度のキーワードでも十分に価値がある
- 「検討段階」「比較段階」のキーワードはコンバージョン率が高い傾向
(4) コンテンツ作成と公開
キーワードが決まったら、コンテンツを作成します。BtoBでは「権威性」「有用性」「信頼性」を意識したコンテンツが評価されます:
コンテンツ作成のポイント
- 長文コンテンツ(1,000〜3,000語)がGoogleで高評価を得やすいとされている
- 業界の専門知識を反映した深い内容
- 具体的なデータ、事例、導入実績を含める
- 検索意図に正確に応える構成
公開後のチェックポイント
- タイトルタグ、メタディスクリプションの最適化
- 見出し構造(H2、H3)の適切な使用
- 内部リンクの設置
- モバイル対応の確認(Googleはモバイル版を優先的にインデックス)
BtoB SEOの3つの施策(内部・コンテンツ・外部)
(1) 内部施策(タイトルタグ・メタディスクリプション・サイト構造)
内部施策とは、サイト内部の構造やHTMLを最適化する施策です:
タイトルタグ
- 検索キーワードを含め、30〜35文字程度に収める
- ページ内容を端的に表現する
メタディスクリプション
- 検索結果に表示される説明文(90〜120文字)
- クリックを促す内容にする
サイト構造
- 階層構造を分かりやすくする
- パンくずリストを設置
- サイトマップを作成し、検索エンジンのクロールを促進
表示速度
- ページの読み込み速度を改善
- 画像の最適化、不要なスクリプトの削除
(2) コンテンツSEO(長文コンテンツ1,000-3,000語・権威性・有用性)
コンテンツSEOは、ユーザーに価値あるコンテンツを作成し、検索流入を増やす手法です。BtoBでは特に重要な施策です:
コンテンツの質
- ユーザーの検索意図に応える内容
- 業界の専門知識を反映した深い情報
- 具体的なデータ、事例、調査結果を含める
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)
- 執筆者の専門性を示す(プロフィール、実績)
- 情報源を明記する
- 最新情報に更新する
コンテンツの量
- 長文コンテンツ(1,000〜3,000語)が有利とされているが、質を優先
- 網羅性よりも「検索意図への回答」を重視
AIコンテンツへの注意 人の手を加えずにAI生成コンテンツを大量投稿すると、Googleからペナルティを受ける可能性があるといわれています。AIを活用する場合は、人による編集・品質管理が必須です。
(3) 外部施策(被リンク獲得)
外部施策とは、他サイトからの被リンクを獲得し、サイトの評価を高める施策です:
自然な被リンク獲得
- 業界で引用されるような調査レポート・ホワイトペーパーを作成
- 専門家としてのインタビュー記事・寄稿
- 業界団体・メディアへの情報提供
注意点
- 購入リンクや不自然なリンク交換はペナルティの対象
- 質の低いサイトからの被リンクは逆効果
- 被リンクは「結果として獲得するもの」であり、無理に増やさない
成果を測定・改善する方法
(1) 効果測定の指標(検索順位・トラフィック・リード獲得数)
BtoB SEOの効果を測定するために、以下の指標を定期的に確認します:
主要な指標
- 検索順位:ターゲットキーワードでの順位推移
- オーガニックトラフィック:検索からの流入数
- リード獲得数:資料請求、問い合わせなどのコンバージョン数
- コンバージョン率:流入数に対するコンバージョンの割合
測定ツール
- Google Search Console(検索順位、クリック数、表示回数)
- Google Analytics(トラフィック、コンバージョン)
- 各種SEOツール(順位トラッキング、被リンク分析)
(2) 中長期的な視点(3-6ヶ月以上)
BtoB SEOは短期間で成果が出にくいことを理解しておく必要があります:
成果が出るまでの期間
- 新規コンテンツが検索結果に反映されるまで数週間〜数ヶ月
- 検索順位が安定するまで3〜6ヶ月以上
- BtoBは検索ボリュームが小さいため、十分なトラフィック獲得まで時間がかかる
短期的な成果が必要な場合
- SEOと並行してPPC(リスティング広告)を活用
- 既存コンテンツのリライト・最適化で早期成果を狙う
(3) ナーチャリング施策との組み合わせ(MA・メルマガ等)
BtoBでは、SEOで獲得したリードをすぐに受注につなげることは難しいケースが多いです。そのため、ナーチャリング施策との組み合わせが重要です:
ナーチャリングとの連携
- SEOで獲得したリードをMAツールで管理
- メルマガで継続的に情報提供
- 検討フェーズに応じたコンテンツを配信
- 商談化のタイミングを見極めて営業にパス
SEO × ナーチャリングの流れ
- 検索から流入(SEO)
- 資料ダウンロードやメルマガ登録でリード化
- メルマガや追加コンテンツで育成(ナーチャリング)
- 購買意欲が高まった段階で営業がアプローチ
SEO単独で成果を測定するのではなく、マーケティング全体のファネルの中で位置づけることが重要です。
まとめ:BtoB SEOで成功するためのポイント
BtoB SEOは、BtoCとは異なるアプローチが求められます。検索ボリュームが小さく、検討期間が長いというBtoB特有の特徴を理解し、コンバージョンにつながるキーワードに注力することが重要です。
次のアクション:
- ターゲットペルソナを設定し、購買プロセス別の情報ニーズを整理する
- コンバージョンにつながるキーワードを選定する
- 長文で権威性の高いコンテンツを作成する
- 内部施策(タイトル、メタディスクリプション、サイト構造)を最適化する
- 中長期的な視点で成果を測定し、改善を続ける
- ナーチャリング施策(MA、メルマガ)と組み合わせて運用する
※SEOの効果は業界・競合状況・コンテンツの質により異なります。まずは自社の状況を分析し、優先度の高い施策から着手していきましょう。
よくある質問:
Q: BtoBとBtoCのSEOの違いは何ですか? A: 主な違いは、検索ボリューム(BtoBは月間10〜100程度も珍しくない)、検討期間(BtoBは長期)、意思決定者(BtoBは複数の関与者)、キーワード戦略(BtoBは業界特化型・専門的トピック)です。BtoBではコンバージョンにつながるキーワードを重視し、各購買フェーズに応じたコンテンツを用意することが重要です。
Q: BtoB SEOでどのくらいの期間で成果が出ますか? A: 中長期的な効果を見込む必要があり、一般的に3〜6ヶ月以上かかります。検索ボリュームが小さいため短期的な成果は期待しにくいです。短期的な成果が必要な場合は、PPC(リスティング広告)との併用が推奨されます。また、ナーチャリング施策との組み合わせで、獲得したリードを育成することも重要です。
Q: SEOとPPC(リスティング広告)、どちらが効果的ですか? A: 80%以上のBtoB企業が、SEOの方が質の高いリード獲得ができると回答しているという調査結果があります。長期的にはSEOがコスト効率が高いですが、短期的な成果が必要な場合はPPCと併用が推奨されます。どちらか一方ではなく、状況に応じて使い分けることが効果的です。
Q: AIコンテンツは使えますか? A: 人の手を加えずにAI生成コンテンツを大量投稿すると、Googleからペナルティを受ける可能性があるといわれています。AIを活用する場合は、人による編集・品質管理が必須です。AIはあくまで補助ツールとして活用し、最終的なコンテンツの質は人が担保する必要があります。
Q: BtoB SEOで優先すべき施策は何ですか? A: まずペルソナ設定から始め、購買フェーズ別のキーワード選定、コンバージョンにつながるコンテンツ作成の順で進めます。また、モバイル対応は必須です(Googleはモバイル版を優先的にインデックス)。トラフィック増加だけでなく、リード獲得効率を重視した施策展開が重要です。
